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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
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鉄人28号 その1〜安保闘争

鉄人28号 第1巻

ぼくらが幼少時に親しんだテレビの『マジンガーZ』や『勇者ライディーン』といった巨大ロボット番組。これらのルーツを辿ると、昭和30年代に大ヒットした横山光輝のまんが『鉄人28号』に行き着く。同じ頃に人気を二分した手塚治虫の『鉄腕アトム』との最大の違いは、『鉄人28号』系列のロボットは要するに人が操縦するという点だろう。「良いも悪いもリモコン次第」というやつだ。

・・・などと、まるで見てきたことのように書いているが、ぼくが『鉄人28号』を初めて読んだのは、ほんの1年前のこと。それまでは、正直に言って名前と姿は知っているものの、あらすじさえ知らない状態だった。
ぼくが読んだのは2005年から2007年にかけて復刻された『鉄人28号 原作完全版』全24巻。ファンの方には申し訳ないが、まんがの文法が現在とは全く異なるので、読破するには骨が折れた。

深い説明もなく次から次へと新しいキャラクターが登場し、いつの間にか退場・・・。スピーディーな展開といえば聞こえはいいが、行き当たりばったりという方が真実に近いような気もする。
もちろん、現在のような”単行本化を前提とした連載”という形式が確立されていない時代の作品なので、これは非難には当たらないだろう。それどころか、その行き当たりばったりのおかげで『鉄人28号』には、鉄人が生きた時代が色濃く反映されることになったとぼくは見ている。

そしてそれは同時に、横山光輝という作家の、20才代の記録でもあったと思う。

『鉄人28号』が書かれたのは1956(昭和31)年から1966(昭和41)年とのことだが、これは丁度、横山光輝の21~31才にあたる。時代はまだまだ戦後の激動期。高度経済成長のまっただ中で東京タワーやら東海道新幹線やらが建設される一方で安保闘争が日本を揺るがし、海外に目を向ければケネディが暗殺されたりベトナム戦争が激化したりで、つまりは破壊と建設が世界のあちこちで同時多発的に起こっているような時代だった。
若い横山光輝の感性が、こうした時代の激流に影響を受けなかったと考える方がどうかしている。

また、1934年生まれの横山光輝は「昭和ヒトケタ世代」でもある。昭和9年生まれということは、横山光輝は11才で終戦をむかえていることになる。かろうじて戦争を知っている年代、だといえるだろう。


そんな横山光輝が書いた『鉄人28号』は、ぼくらが知っている「正義のロボット」ものとは全く異なる始まり方をした。
それは、戦時中に日本陸軍が極秘に開発していたロボット兵器が戦後の世の中に現れ、そのリモコンに色々な思惑を持った連中が群がって、激しい争奪戦を繰り広げる・・・、そんな物語だった。

簡単にいえば、大日本帝国の「遺産」を誰が使うのか、だ。
ここには、小学生で終戦をむかえてしまった横山光輝の世代に独特な感覚があるような気がするが、ぼくが決めつける話ではないので先に進む。

で、ぼくの見るところだが、『鉄人28号』の物語は大きく3つの時期に分割することができると思う。

まずは「初期鉄人」。これは1956~58年に書かれた部分で、上記の『原作完全版』では6巻あたりまで。
この時期が、”鉄人のリモコンの奪い合い”に当たる。
参加者を列挙すると、

・村雨一家(日本のギャング団。厳密には鉄人の”破壊”を狙った)
・PX団(ヨーロッパを拠点とする世界一の大密輸団)
・S国陸軍省
・クロロホルム氏(フランス人の探偵)
・スリルサスペンス氏(アメリカ人ギャング団)
・ジャネルファイブ(フランス人の怪盗紳士)

と、なかなか国際色豊かで、にぎやかだ。

こういった手合いからリモコンを守るために、警視庁に協力して大活躍するのが主人公の金田正太郎という少年で、こいつは大きな洋館に一人で住み、ディスコ・ボランテなんてイタリア車を乗り回し、自前の拳銃を撃ちまくる「少年探偵」だ。要するに子どもたちの永遠の憧れを実体化させたような少年で、これは単に連載当時のマンガ界の流行だったそうな。

さて、そんなリモコンの奪い合いはやがて終息し、鉄人自体は警察、操縦機は鉄人の製作者の一人である敷島博士が管理していたが、いつの間にか鉄人も操縦機も正太郎の所有物になっていた。
ここからが「中期鉄人」で、1959~1962年の連載。

テーマは割と一貫していて、この時代らしく「科学の悪用」が中心になっている。マッドサイエンティストたちが登場し、彼らに操られた「悪」のロボットと鉄人が戦う。
そして最後に、再び「S国」のスパイを相手に鉄人の奪い合いをして、「中期」は終わる。

後期鉄人」は1962~66年。この時期の鉄人はにわかに政治色が強まり、国際的な活動を始める。
まずはヨーロッパから来た「十字結社」と神戸で戦い、続いては鉄人自身がヨーロッパに渡って「ロボット見本市」に出場。ここでベネラード財団との取引を独占しようとするビックファイア博士の陰謀を粉砕すると、帰路では中東のクーデターに巻き込まれる。帰国後は「スノー国」の陰謀を阻止。
そして鉄人最後の戦いは、世界統一を標榜する「ブラック団」がその相手だった。


以上、急ぎ足で大ざっぱな説明になってしまったが、まず注目したいのが「S国」という強敵だ。
作品をみれば一目瞭然で、その巨大な組織力と最先端の科学力からは、往年のソビエト連邦以外の推測を許さない。それはまた、当時の東西冷戦という世界情勢を考えれば、必然的な結論だとも言えるだろう。

だがその「S国」は、鉄人奪取の2度目の試みに敗れたあと、忽然と作品から姿を消した。
それはなぜか。

つづく