プロフィール

竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
一つの 「カテゴリ」 で一つの記事となってます(記事は古い順に並んでます)。同世代のおっさん向け。

カテゴリ
もくじ

全ての記事タイトルを表示する

月別アーカイブ
ブログ内検索
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

主要記事
リンク
応援中
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
趣味 - シュミラン

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

鉄人28号 その2 ~ソビエトとアメリカ(ブラック団)

鉄人28号 最終巻

鉄人28号』に、ロビーという名のロボットが登場する。『原作完全版』では11巻から13巻。書かれた時期で言えば、1960年の夏から翌1961年の春にかけてだ。

牧村博士の手で製造されたロビーには人工知能が搭載されていたので、ロビーは自分で思考できるロボットだった。はじめは幼児のような行動しかとれなかったロビーだったが、やがてその人工知能は、ロボットによるロボットのための王国という発想に至る。

ロビーは地下工場を建設すると一大ロボット軍団を作り上げ、ロボットの主権を唱えて人間社会に宣戦布告をする。東京湾から上陸し、首都を占領せんと大挙押し寄せるロボット軍団を、総力を挙げた警察と自衛隊が迎え撃つ。東京は人間とロボットの群れ、群れ、群れで、洪水のように溢れかえるのだった・・・。

この、コマいっぱいに描かれる人とロボットの群れは、ぼくには現実の日本社会に起きた、ある大事件を連想させる。
言うまでもない、安保闘争だ。

若い人も読むかもしれないので簡単に説明すると、1951年に結ばれた日米安保条約が岸内閣の手で改定されることになり、これに反対した学生や市民が起こした「日本史上で空前の規模の反戦・平和運動」(Wikipedia)が安保闘争だ。デモ隊を組んで国会議事堂を取り囲む人の群れと、それを鎮圧しようとする機動隊の激突の写真などは、ネットで検索すればいくらでも見つかる。

その安保闘争が最も盛り上がりを見せたのは、1960年の6月。
およそ当時の日本人で、この運動に興味を示さない者は皆無だっただろう。横山光輝もすでに20代半ば。このとき受けた強烈なイメージが、その数ヶ月後、東京を埋め尽くすロボットと人間の群れとしてマンガに描かれたと想像しても、何ら不思議ではない年齢だと思う。

ところで、この1960年6月に成立した日米安保条約とは一体いかなる条約だったのか?

簡単に言えば、それは1951年に吉田茂が結んだ「旧安保」があまりにアメリカ有利で一方的な不平等条約だったので、それをそれなりに平等で、相互依存性のある内容に改定したものだ。具体的には、それまでは米軍には日本を防衛する義務はなかったのを、ハッキリと明文化して日米共同防衛を体制化したことなどが挙げられる。
つまり、この時を境に、もしもソビエト軍が日本に侵攻してきた場合、在日米軍には日本を守るために出動する義務が発生した。

これが『鉄人28号』から「S国」の脅威が去ったことの真相だとぼくは思う。
S国があくまでも日本を狙ってくるなら、今度はマンガにソビエト対アメリカの戦争を描かなければならなくなる。ソビエトはもはや、いつでも自由に使える「仮想敵国」ではなくなったのだ。

こうして日本は安全になった。
だからその後の鉄人は、世界の舞台に飛躍した。ヨーロッパへ、中東へと鉄人の活躍は拡大した。


ところが・・・。
この辺りまで読み進めたころ、ぼくはふと、ある違和感を感じた。
”世界の鉄人”と言えば誇らしいが、この”世界”には肝心かなめの国が含まれていない。

アメリカ合衆国だ。
日本にとって一番大切なはずのアメリカ、一番身近なはずのアメリカに、鉄人は立ち寄る気配がない。話題に出てくることもない。まるでそんな国は、”世界”に存在しないかのようだ。
これはどうしたことか。
『鉄人28号』は、世界一の超大国アメリカを、ついには(国としては)作品に登場させないまま終わってしまうのか。

・・・いや、そんなことはなかった。
アメリカは登場する。ただし、それとは分からない形で、だ。

鉄人の最後の戦いが、「ブラック団」を名乗る秘密組織であることは前回の記事でちょっとだけ触れた。
このブラック団の目的は”世界の統一”で、彼らはそれを達成するための巨大な力を持っていた。日本に対しては、海底に建造されたミサイル基地がその照準を合わせており、彼らはその武力を背景に、日本政府を威嚇・脅迫しようとした。

この構図。
日本近海に配備された武力による威嚇・脅迫という構図は、一体どこからイメージされたものなのだろう?

『鉄人28号』に「ブラック団」が登場するのは1966年のこと。
実はその2年前に、やはり日本を揺るがし、国会にデモ隊が押し寄せる事件があった。
アメリカ原子力潜水艦シードラゴンの佐世保寄港だ。

ついに十一月十二日シードラゴン号は佐世保港に現われました。佐世保米軍基地附近には『安保闘争』を思わせるようなはげしいデモがくりひろげられ、その夜、東京でも国会に反対派の請願デモがくり出しました(昭和39年朝日ニュース)

核被爆国日本の神経を逆撫でするようなこのアメリカの行為にどういう意図があったのかは、まだ精子でもなかったぼくには知る由もない。また、横山光輝が露骨な反米意識でもって「ブラック団」を登場させたとも思わない。
だが、このブラック団とシードラゴンの立ち位置がどこか似ていることは、考え過ぎと断じるには早計であるような気がすることも確かだ。

なぜなら『鉄人28号』を引き継ぎ、発展させたようなかたちで制作された特撮テレビ番組『ジャイアントロボ』(1967年・東映)にも、やはり同様の構図が隠されているからだ。

つづく

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。