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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
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マジンガーZとアストロガンガー 〜兜甲児の正義

マジンガーZ対アストロガンガー

ロボットを扱ったヒーローもののパイオニアとも言える『鉄人28号』。そしてその直接の後継である『ジャイアントロボ』。この両作に共通していたことは、いずれも作品中に”アメリカ合衆国”が全く登場せず、しかし最後にして最大の強敵にはアメリカ合衆国のイメージが垣間見えるということだった。
『鉄人28号』においては、それは日本の近海に配備された軍事力という脅威を元に日本政府を威嚇・脅迫するものであり、一方の『ジャイアントロボ』においては「アメリカの核」そのもののイメージが付与されていた。

時代は進み1972年。
仮面ライダー』にはじまる第二次特撮ブームは、その亜流を量産するばかりですでに発展がなく、一部では早くも遠からずの衰退が予感されていた。そんな折に彗星の如く現れて、その後のテレビの歴史を一変してしまう怪物番組が登場する。
ロボットヒーローの中興の祖、言わずとしれた『マジンガーZ』(東映)だ。

当時この『マジンガーZ』のクオリティがどれほど高いものだったかは、わずか2ヶ月だけ先行して始まった『アストロガンガー』(ナック・宣弘社)と見比べれば、その天地ほどの差が誰にでも瞬時に理解できるほどだ。黙って見せられたら、どんな人でも『アストロガンガー』は『マジンガーZ』より最低でも5年は古い作品だと思うだろう。

この二つの作品の絶望的なまでの格差の原因を一言で言えば、「リアリティ」につきる。
『アストロガンガー』を操る(正確には一体化する)主人公は、どうみても7才くらいの子どもで、こんないたいけな幼児が何と宇宙からの侵略軍団と戦ってしまう。ロボットは自分の意思をもっていて日本語で会話をし、およそ頑丈な金属製とは思えない柔らかい動きをし、空を自由自在に飛ぶものの、その推進力は不明だ。

ぼくには『アストロガンガー』を観ていた記憶は全くなかったが、今回(ひどく画質の悪い)DVDを観るにつけ、その理由も今はっきりと分かる。ここまで子どもを舐めた番組では、当の子どもですら観ることはないのだと。
しかもそこへ、わずか2ヶ月遅れで『マジンガーZ』が登場してしまってはもうダメだ。かくしてぼくの記憶から『アストロガンガー』の存在は完全に消去されてしまったのだった。


さて、ではそんな『マジンガーZ』の革命的なリアリティとはいかなるものだったか。
一つには、それがいかにも身長18m、体重が20tもある巨大ロボットとして表現されたことだろう。その操縦は複雑で修練を要し、主人公の兜甲児がいきなり思うがままにロボットを操ることはない。さらにマジンガーZは初めのうちは空も飛べず、海にも潜れなかった。一度コケると容易に立ち上がることさえできなかった。
ぼくらの世代なら、エンディングムービーで解剖図として表されたマジンガーZのかっこよさに痺れなかった者はまずいないだろう。

そして『マジンガーZ』では、なぜ「世界征服を狙う悪の侵略者」が日本ばかりを襲うのか、にも明確な理由付けをした。これも「リアリティ」の一貫だ。日本が美しい国だから・・・ではない。「地下帝国」の総帥ドクターヘルは、日本の富士火山帯洪積世の地層からしか産出されない新元素「ジャパニウム」と、それをもとに精錬された金属「超合金Z」を奪うために、世界でただ一箇所それらの秘密を握っている「光子力研究所」を襲う・・・。

この設定は見事なもんだと思う。
18m、20tもある巨大ロボが、どこに現れるか分からない敵ロボットを探して日本中をウロウロするなんてのは余りに現実性がなく、むしろ迷惑な存在だ。だが、光子力研究所を目標とするドクターヘルは向こうからマジンガーZの懐に飛び込んできてくれるので、こっちはじっくり準備を整えた上で待機していればいい。高校生、兜甲児は連絡があるまでは学校の授業も受けられるので、落第に怯える心配もない。

無論、こうした舞台設定が一種のご都合主義であることは否定しない。
だが肝心なことは、光子力研究所が民間の施設であり、兜甲児も民間人だということだ。民間人が身長18mのロボットで町中を闊歩したら道路交通法違反でしょっ引かれてしまう。だから兜甲児は敵が富士山麓の研究所に迫るまで待っているほかはない。

要するに『マジンガーZ』の物語とは、民間人による自己防衛のための戦いの物語だということだ。

となると、次の兜甲児のセリフには違和感がある。
「俺はDr.ヘルの野望を叩くために、このマジンガーZを正義のために使うことを、今ここに誓う」(第2話)
一見すると、兜甲児という平凡な少年が「正義のヒーロー」に生まれ変わった瞬間、とでもいう意味での、有りがちなセリフのように思えるかもしれないが、実はこのセリフはそんなキザな”男の誓い”のような性質のものではなかった。

第1話でマジンガーZを完成させた兜甲児の祖父が、それを孫に託す際に言ったセリフがある。
「甲児、シロー(※甲児の弟)、あれはお前たちのものだ」
「甲児、お前はあのマジンガーZさえあれば、神にも悪魔にもなれる」
この祖父の言葉に応えるかたちで、甲児は「正義のために」と言ったわけだ。つまりは「神」の方を選んだ。

だがここで注目したいのが、甲児の祖父、兜十蔵博士は、甲児がマジンガーZを使って「悪魔」になることを否定してはいないうえ、それを甲児兄弟の「私物」だと言い切っていることだ。
そして実際のところ、甲児がマジンガーZを使って守っているものは光子力研究所だけに限られている。

つまりは(繰り返しになるが)甲児のいう「正義のために」とは、私物を使って私物を守る”私闘”でしかない。これがかつて一世を風靡して全国の男の子たちを熱狂させた「正義のロボットヒーロー」の物語の本質だ。


・・・これは何とも不思議な話だ。
それではまるで、自分のオモチャを守るためにそのオモチャを使ってガキ大将と戦う子どものストーリーじゃないか・・・。

つづく

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