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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
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マジンガーZとアメリカ

ジェットスクランダー

マジンガーZ』(1972年~・東映)の悪役、ドクターヘルが企むものは、彼が作ったロボット軍団による「世界征服」だった。ところが、ヘルの作ったロボットはマジンガーZの装甲(超合金Z)を破ることができず、そのエネルギー(光子力)の前には無力な存在だった。そこでヘルは「世界征服」の前に、まずそれら日本の光子力研究所でしか保有しない技術の強奪を考えて、執拗な攻撃を仕掛けてくるのだった・・・。

このドクターヘルの「地下帝国」vs「光子力研究所」という抗争の構図が、実のところ”私闘”であることはすでに書いた。ではそんな”私闘”をなぜ兜甲児が「正義のために」と言えるのかといえば、それは甲児が光子力研究所を中心にした、同心円的な世界平和を考えていたからだ、ということになるだろう。

超合金Zと光子力エネルギーを死守する限り、マジンガーZさえあれば差し当たりのヘルの脅威は防ぐことができる。逆に言えば、それらがヘルの手に渡ったとき、世界はヘルの独裁するところとなる・・・。
これが甲児のいう「正義のために」だ。

となれば、光子力研究所が敗れたならまずは近隣の静岡県がヘルの手に落ち、そこから日本全土、中国、ロシア、インド・・・という順に世界中がヘルに屈していく理屈になる。
もちろんその中には、太平洋を東に隔てたアメリカも含まれるだろう。

ところが『マジンガーZ』に登場するアメリカ人には、どうやらそんな危機意識は全くないらしい。

まず第18話「海のギャング 海賊グロッサム!」
この回、ついにマジンガーZに水中戦闘能力が搭載された。この改造に立ち会い、助言を行ったのはゴードン博士。
彼は、”太平洋を飛行機で横断して”やってきた科学者で、「オズモ計画」で「宇宙ロケットを打ち上げた」功績をもつ人物だ。誰がどう見ても彼は”アメリカ人”だ。

すでに書いたように「平和憲法」による制限を受けるマジンガーZには、当初水中戦闘能力は装備されていなかった。マジンガーZが自力で海を渡ってしまっては先制攻撃が可能になってしまい、憲法9条に違反する。
しかしその水中戦闘能力を、憲法9条を日本人に与えたアメリカ人の手で装備したことにすればどうだろう?
問題が解決するわけではないが、世間の風当たりは弱くなるはずだ。

これはぼくの妄想でもコジツケでもない。
もう一つの弱点、飛行能力もマジンガーZはアメリカ人の協力で得ることができたからだ。

第33話「大空襲! バラスKは空の無法者」
マジンガーZの弱点を突くべく空からの攻撃が続く現状に業を煮やした弓教授は、ついにアメリカへ飛んだ。ロケット工学の権威、スミス博士に会うためだ。ニューヨークで弓教授と面会したスミス博士は「われわれは彼を倒すためには、どんな援助も惜しみませんよ」と快く改造計画書に目を通していくのだった・・・。

こうして二人の高名なアメリカ人科学者の協力によって、”成長するロボット”マジンガーZは、いよいよ陸海空を自由に活動できるロボットへと進化していった。「平和憲法」違反は、アメリカ人の”お墨付き”悪く言えば”許可”を頂くことで克服できたのだった。

めでたしめでたしと言いたいところだが、ここで注目したいのがスミス博士の発言だ。
「どんな援助も惜しみませんよ」

もしも甲児が考える同心円的な世界平和の維持をスミス博士が共有していたなら、「援助」なんてぬるいセリフは出てこないはずだ。彼もまた日本に同行し、光子力研究所の一員としてマジンガーZの強化に当たるべきだ。
しかし彼はそれをせず、あくまで「援助」することにとどまった。
これはどういうことか?

つまるところ、アメリカ人のスミス博士やゴードン博士にとって、ドクターヘルとの戦闘は「他人事」だということだ。この戦闘にアメリカは無関係なのだ。
そして実を言えば、2年に渡ってドクターヘルと戦い続けた兜甲児自身、同じように感じていたフシがある。

最終回第92話「デスマッチ!! 蘇れ我らのマジンガーZ」
甲児と仲間たちはついにDr.ヘルを破り、光子力研究所ではお祝いのパーティーを楽しんでいた。しかし今度は「ミケーネ帝国」による新たなる侵略が始まってしまう。甲児はマジンガーZで出撃するが、ミケーネ帝国のロボットには光子力はまったくの無力で、鉄壁と思っていた超合金Zも易々と破壊されてしまった。光子力研究所も今度ばかりは陥落し、完全に機能を停止してしまう。暴れ回る敵ロボット。するとそこに科学要塞研究所からグレートマジンガーがやってきて、あっさりとミケーネ帝国のロボットを倒してしまう。マジンガーZを失った甲児は、心と体の傷を癒すため、弓教授の勧めでアメリカに留学する・・・。

新たな侵略が始まったのにも関わらず、マジンガーZが敗れるや否や、甲児はあっさりとアメリカに留学してしまった。心と体の傷を癒すためにだ。
つまり『マジンガーZ』の登場人物たちにとって、アメリカは「安全地帯」だということだ。ドクターヘルは「世界征服」というが、それはウソだ。ヘルの言う「世界」には、最初からアメリカは含まれていない。

ならば『マジンガーZ』とは一体どういった物語だったのか?
それは、戦後日本の象徴ともいえるハイテクノロジーを、ヘルと光子力研究所が奪い合うというものだった。そして光子力研究所は戦後の「平和憲法」による制限を受ける存在で、アメリカとは極めて親密な関係をもつ存在でもあった。
要するに、光子力研究所には「戦後日本」のにおいがプンプンするというわけだ。

では一方のドクターヘル「地下帝国」は何だろう?
そもそもヘルはノーベル賞候補にあがるような高名な学者だった。アカデミズムの中心にいる人物だったということだ。ところがヘルはにわかに「世界征服」の野望を持つと世界秩序の外部に飛び出していき、独自のテクノロジーをもって侵略戦争を開始した・・・。

ぼくにはこのヘルの一連の行動には日本の戦前、すなわち大日本帝国のイメージが重ねられている気がするが、それを語るには『マジンガーZ』だけでは材料が足りない。今はとりあえずの推論として『マジンガーZ』とは、日本の戦前と戦後が精神的な「内戦」をしている物語ではないか、とだけ言っておくこととする。要するに「侵略者」vs「平和憲法」ということだ。

詳しくはまたいずれ「ガンダム編」にて。

つづく


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