プロフィール

竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
一つの 「カテゴリ」 で一つの記事となってます(記事は古い順に並んでます)。同世代のおっさん向け。

カテゴリ
もくじ

全ての記事タイトルを表示する

ブログ内検索
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

主要記事
リンク
応援中
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
趣味 - シュミラン

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

宇宙戦艦ヤマト ガミラスはナチスドイツか?

イスカンダルとガミラス

宇宙戦艦ヤマト』の第3の”皮”が、「ガミラス帝国=ドイツ第3帝国」というものだろう。

もちろん、ガミラスがナチスドイツを想定していたことは「基本設定書」に書いてあることで、疑う余地はない。よく指摘される点としては、ガミラスがデスラーを総統に戴く独裁制の国家であることや、ドメル将軍(ロンメル)や副官ゲール(ゲーリング)といった実在の人物の名前をもじった人名などがある。
だからぼくなんぞは、初めてナチスの映像をみたとき逆に「ガミラスみてーだな」と思ったりしたもんだった。

ところが、あらためて『宇宙戦艦ヤマト』を通して観てみると、ひとつ不思議な違和感があることに気付く。
それは、沖田や古代を始めとしたヤマトクルー、そして地球に残された人々には、ガミラスがナチスドイツには見えていないんじゃないか、という点だ。

ストーリーを順に追っていくと、こんな感じになる。

まずヤマト出航以前に、彼らがガミラスについて知っていたことはほとんど皆無だった。分かっていた事と言えば、それが地球の科学力を遙かに凌駕するテクノロジーと、圧倒的な差を誇る物量を持っていて、とんでもない数の大艦隊で向かってくる敵であること。また、それは遊星爆弾というキノコ雲を吹き上げて放射能をまき散らす兵器をボコボコ落としてきて、無差別に大量虐殺をする連中であること。それくらいだった。

そしてヤマトの航海が始まり、第6話「氷原に眠る宇宙駆逐艦ゆきかぜ!」。
この回、はじめて古代進がガミラス人と接触するが、ヒト型ではあるが言葉は通じないという点以上の情報を得ることはなかった。

第11話「決断!!ガミラス絶対防衛線突入!!」。
ガミラスの冥王星前線基地を破り、太陽系から飛び出してきたヤマトを封じるべく、デスラー総統は”デスラー機雷”なる兵器でヤマトの破壊を狙ってくる。しかしヤマトは自力でこの危機を切り抜け、それを知ったデスラーはヤマトに対して
「ヤマト諸君の健闘を称える。今後の対決が楽しみだ。ガミラス総統デスラー」
と祝電を送ってくる。
ヤマトクルーはこのとき初めて、ガミラスのトップがデスラーという名であることを知った。

第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」。
パトロール中の古代らがガミラスの戦闘機と交戦し、うち一機を拿捕した。
「ガミラスの資料は何一つ分かってないんだぜ」と古代。
捕虜となったガミラス人を検査した結果、皮膚の色が青い点を除けば「ほとんど我々と変わらない」ことが判明する。

第21話「ドメル艦隊!! 決死の挑戦状」。
いよいよ片道の中間地点を突破したヤマト艦内では、バラン星で得た資料を元に、「どこからどうやって来るかもわからない」ガミラスについての分析が始まっていた。このときクルーの真田志郎は、ガミラスが「地球の汚染度の変化を本国に報告していた形跡がある」ことから「ガミラスは地球への移住を考えていたんじゃないか」と推察する。

第23話「逐に来た!! マゼラン星雲波高し!!」。
いよいよ目的地イスカンダルまで0.8光年の地点にまで辿り着いたヤマト。艦内のスクリーンでは、初めて二重惑星、双子星であるイスカンダルの姿が確認された。ところが安堵する間もなく、そのイスカンダル方面から60発におよぶミサイルが接近していることが発覚。古代は、航海の間中、心の奥底に押し込めていた疑問を口にしてしまう。
「イスカンダルもまた、我々の敵だった・・・?」
しかしミサイルがガミラスの物だと分かると、今度は
「我々はイスカンダルではなく、ガミラスに来てしまったのではないか・・・?」
揺れ動く古代の男心だったが、その後スターシャからの通信が入り、イスカンダルとガミラスが二重惑星であるという真実がヤマトクルーに伝えられる。

第24話「死闘!! 神よガミラスのために泣け!!」。
超磁力でガミラス星に引き込まれたヤマトは、天井都市からの爆雷と濃硫酸の海に挟まれて悪戦苦闘していた。絶体絶命のヤマトは、濃硫酸の海に潜って地下火山脈を波動砲で撃ち抜く。この攻撃に誘発されて、ガミラス星の火山が次々に噴火。ヤマトは天井都市に猛攻をかけて、やがて戦闘は終わっていた。ガミラスの全滅だった(ように見えた)。妨害者のいなくなったヤマトは、イスカンダルに向かうのだった。


以上、長々とエピソードをあげてみたが、つまりはぼくらが第3話の冒頭から知っているガミラスとイスカンダルが二重惑星という事実も、ガミラスがナチスドイツのような独裁国家であることも、ガミラス人の生活や文化にいたるまで、ついにヤマトクルーは知らないままガミラスを滅ぼしてしまった。女性や子どもは一人も見ていないし、数人の兵士とドメル以外は(デスラーを含めて)顔も知らない。むろん、地球に残った人々は結局最後まで、ガミラス人をナマで見ることはなかった。

では反対に、ヤマトクルーならびに地球の人々がガミラスについて知っていたこととは何か。

一つはガミラスは、高度な文明と、大量の物資と、強大な軍事力を持っているということ。
一つはガミラスは、核兵器を思わせる爆弾による無差別攻撃をしてくること。
一つはガミラスは、我々と同じ人間ではあるが、肌の色が違うこと。

そしてここで思い出したいのが、ガミラスをナチスドイツに想定して書かれた「基本設定書」の存在だ。
そこにはこうも記してあったはず。
「戦略,戦闘に太平洋戦争,ミッドウェイ,レイテ等の海戦の戦略を参考にする」
つまり「ヤマト」の旅は「大和」の旅でもあった。


ぼくら視聴者にはガミラスはドイツに見えていた。だからヤマトの旅は、佐藤健志氏の名著『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』にあるように、「日本の立場を枢軸国側から連合国側に移した第二次大戦の物語」であるように見えた。

しかし、劇中の登場人物たちにはそうは見えていなかった。
それは彼らには、「よみがえったヤマトが核兵器の脅威を打ち破り、艦隊決戦の末に『アメリカ』本土に核以上の兵器をぶち込む」、そういう物語として見えていたのだ。
と、ぼくは思う。

もちろんそんな危険な発想は、願望することさえがタブーだろう。
その危なさたるや、江戸幕府のお膝元で幕府批判の浄瑠璃や歌舞伎を上演するに匹敵する。バレたらどんな目に合わされか、想像しただけで恐ろしい(ヘリコプターから突き落とされるかもしれない)。

そこで登場してくるのが『仮名手本忠臣蔵』以来の、江戸庶民伝統の手法だ。
敵をあからさまにナチスドイツのパロディーにしてしまえば、その裏に潜む暗喩に気がつくのは日本人だけだ。何しろ『ヤマト』をぼんやり眺める限り、そこに具体的に「アメリカ」を指し示しているものは何もない。
そんな状態で、仮にアメリカ大使館が、なーんか怪しいなーと思ったところで、ケチのつけようがないだろう。


などと書くと、まるで西崎義展や松本零士が極度の反米思想を持っていたとぼくが主張していると思われるかも知れないが、そういう意味は全くない。おそらく、むしろあの人たちはアメリカが大好きでならなかったのだとぼくは思う。つまり、ガミラスを「アメリカ」のメタファーだというだけでは、それもまた片肺飛行だということだ。
なぜならヤマトの旅はあくまでもイスカンダルを目指すものであって、ガミラスを滅ぼしたのはやつらがヤマトのイスカンダル行きを邪魔したから以外の理由は何もないからだ。

つづく


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。