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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
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機動戦士ガンダム 正義は誰のものか

アムロの演説

シャアだ!
と言いつつ、もう少しアムロの話題を。

コメントでも指摘していただいた通り、「悪」であるはずの敵方にも立場と言いぶんを認め、「正義」を相対化してしまった作品自体は『機動戦士ガンダム』以前にも存在した。古くは『ウルトラセブン』の「ノンマルトの使者」や、マンガ版の『デビルマン』、テレビシリーズとしては『海のトリトン』や『宇宙戦艦ヤマト』・・・もっとあるのかもしれない。

だが、それらはいずれも「正義」を相対化しただけで、「正義」そのものがヒーロー側から取りさらわれたわけではなかった。それらのヒーローには依然として、戦うだけの理由があることになっていた。

では我らがアムロ・レイはどうだったか。
ララァに戦う理由がないと言われてしまう直前のアムロは、それをこんな感じで語っている。場所はホワイトベース艦内。すでに引用したカイ・シデンのセリフのすぐ後だ。

ミライ「カイのいうことは正しいわね。でも、いまの相手はザビ家そのものよ」
カイ 「じゃあさ、その後で連邦も叩くかい?セイラさん」
セイラ「え?私には政治のことは分からないわ。自由のための戦いとしか理解していないから」
カイ 「あいまいなのね、セイラさんみたいな利口な人がさ」
アムロ「あいまいでいいんじゃないんですか?」
カイ 「なんでだよ、ニュータイプ」
アムロ「それですよ。ジオン・ダイクンのいった人の革新論のいきつく先だってどういうものかわかってないんです。でも人間は環境に従って変化してゆく能力はもっています。そんな人の能力を阻止するものは拒否したい、それはみんなの感情のなかにだってあるはずなんです。こいつはいやだなとか、危険だなって感覚です。そんなものに対して戦わなくっちゃいけないってことです。そう思いませんか」


さて、例によってこのやりとりは『ロマンアルバム・エクストラ50 機動戦士ガンダム? めぐりあい宇宙編』中の「AR台本(抜粋)」から引用した。するとここに厄介な問題があって、実は上記アムロのセリフのうち、最も重要だと思える部分は劇場版ではカットされてしまっていることが分かる。
具体的には「それはみんなの感情のなかにだってあるはずなんです。こいつはいやだなとか、危険だなって感覚です」がそれだ。

なぜカットされてしまったのかは分からないが(単純に尺の関係か?)、そのおかげで、この時のアムロのセリフは映画館ではまったく意味不明のものだったように思う。だが、アフレコ台本をみれば一目瞭然だろう。
アムロは、シャアがいるから戦っている。そう聞こえる。

まあ、そこには拘らなくてもいいのかもしれない。
「あいまいでいい」という通り、アムロは自分がハッキリとした理由もなく戦っていることは、十分に自覚している。差し当たっては若者らしく、それをシャアへの対抗心で埋め合わせている状態なのだろう(ララァへの想いについては割愛する)。


てな感じで表現されたこのヒーローだったが、それでは何故、アムロには戦う理由がないのか。なぜ、兜甲児や本郷猛が叫んだ「正義」をアムロは叫ばないのか。
注目すべきは、ここでもやはりカイのセリフだろう。
じゃあさ、その後で連邦も叩くかい?セイラさん

もう一度最初から整理してみると、『機動戦士ガンダム』は大先輩である『マジンガーZ』の世界を、リアリズムで再構築したものだ(と何かで読んだか、誰かに聞いた記憶がある)。
その世界を簡単な図式にすればこうだ。

(悪)地下帝国ー兜甲児ー光子力研究所(正義)
(悪)ジオン軍ーアムローホワイトベース(正義)

兜甲児が結果的に光子力研究所だけを守っていたように、アムロもホワイトベースを守るために戦う。この構図については両者の行動は一致する。
ところが『ガンダム』において、そのようなアムロの行動は「連邦の盾」でしかないと看破されてしまった。図式はこう変わらざるを得ない。

(悪)ジオン軍ーアムロ&ホワイトベースー地球連邦(正義)

これを『マジンガーZ』側にも、時折チラチラ見え隠れしていた例のものを適用すればこうなる。

(悪)地下帝国ー兜甲児&光子力研究所ーアメリカ合衆国(正義)

『マジンガーZ』とアメリカ合衆国の関係については繰り返さないが、要するに『機動戦士ガンダム』は、『マジンガーZ』においては本来見えなかったはずのアメリカを、ずばり可視化してしまったのだとぼくは思う。
そしてそこにカイのセリフが重なっていく。

じゃあさ、その後で連邦も叩くかい?セイラさん

カイが連邦の「正義」など丸っきり認めていないことは明らかだ。
そしてそれに対し、他の誰一人としてカイに正統的な反論を試みる人はいない・・・。

だがそれも当然のことだろう。
連邦については、ギレンが「絶対民主制」と言った程度のことを除けば、その国家理念等はほとんど明らかにされていない。そのうえ、アムロやカイは宇宙コロニー育ちなので、地球にたいする愛郷心さえ持っていない。
そんな彼らから見て、連邦の「正義」なんぞは、結局のところ”借り物”でしかないだろう。そんな「正義」をいくら叫んだって、それは虚しいだけのことだ。

そしてそれは、数多の先輩ヒーローだって同じことだろう。
彼らが口々に叫ぶ「正義」や「平和」はそもそも誰のためのものなのか?
それは要するにショッカーやら地下帝国やらの侵略から、「戦後の日本」を維持するための戦いだろう。ならば守られるべきは、その「戦後の日本」を作った人々だ。その人たちの理念だ。ぶっちゃけて言えば、GHQの正義だ。

果たしてそれは、本当に”借り物”の正義ではなかったのだろうか?
そんなもののために、本当にヒーローたちは命を賭けられるものなのだろうか?

つづく


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