プロフィール

竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
一つの 「カテゴリ」 で一つの記事となってます(記事は古い順に並んでます)。同世代のおっさん向け。

カテゴリ
もくじ

全ての記事タイトルを表示する

ブログ内検索
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

主要記事
リンク
応援中
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
趣味 - シュミラン

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

伝説巨神イデオン 無限力の真実と妄想

無限力

前回の記事では『伝説巨神イデオン』において、”変わりゆくものと絶対のもの”という観点から「イデの伝説」についてちょっと考えてみた。今回はその続きということになるが、お題は「真実と妄想」でいきたい。
と言っても『イデオン』劇中で語られた「真実」はあまりに僅かしかない。ほとんどはそれを元に登場人物たちが思い描いた想像で占められているのが『イデオン』だ。それを注意深く仕分け(笑)することで、また一つ「イデ」の実相に迫れたらという試みだ。

劇中において、「イデ」についてようやくまともな情報が得られたのは、第27話「緊迫の月基地潜行」でのことだ。月基地にある大型コンピューター「グロリア」で「イデ」のデータを解析したシェリルとジョリバが、ソロシップに帰還したのち交わされたクルーとの会話をまず引用する。非常に興味深いやりとりなので、チト長いがなるべく省略しないことにする。

カーシャ「地球は私たちを見捨てたのね」
ベス「自ら戦うことを放棄して、民族が守れるか」
シェリル「いえ、戦わないことが守りになる場合もあるわ」
ベス「何?」
コスモ「どういうことなんだ、シェリルさん」
ジョリバ「ソロシップとイデオンが無限力を持っていることが分かったんだ」
コスモ「何だって」
カーシャ「無限力って、どういうこと」
シェリル「イデオンとソロシップの力は、開放された時、ひょっとしたら地球の一つや二つ、いえ、それ以上のものを破壊できる力ってことでしょ」
ベス「確かなのか、シェリル」
シェリル「コロボックが調べてくれたのよ。確かよ。何億人かの第6文明人の意思を封じ込めるシステムがイデ。そのイデの力を破壊のために使ったら、あたしたち・・・」
コスモ「で、そのイデのコントロールシステムは分かったのかい(シェリルうろたえる)シェリルさん、しっかりしてよ。コントロールするする方法が分からないんじゃ、何にもならないじゃないか」
シェリル「それは、ムーンランドの兵隊がコロボックを殺しちゃって・・・いけないんですよ。調べられなくって」
ジョリバ「シェリル、あとは俺が説明する」

※一部省略

ベス「で、そのイデってのは第6文明人の意思を・・・」
ジョリバ「うん、イデオナイトのバリアーが封じ込めてんだな。この空間に。それをエネルギーとしているのがイデ」
ハタリ「それが何で動き始めたんだ」
ジョリバ「封じ込められたイデの防衛本能らしいんだ」
カーシャ「防衛本能?」
ジョリバ「より純粋な防衛本能に応えて、イデは動き始めたということさ」
コスモ「より純粋な防衛本能・・・」
ジョリバ「例えばパイパールウのような、赤ちゃんの自分を守りたいという考え方にイデは同調したんだ。俺たちは偶然にしろ、ルウのような赤ちゃんをソロシップに乗せた。そのおかげでイデの力が俺たちを守ってくれていたというわけさ。でなけりゃ・・・」
コスモ「いや、おかしいよ。自己防衛意識のかたまりにしては、俺たちを守ってくれない」
ベス「いや、イデそのものが独立したものになっていたら考えられるぞ。ソロシップとイデオンが完成して数多くの意思の力が一つのパワーとなったとき・・・」
カララ「イデは自己の存在を他のものに侵略される前に他者を滅ぼす。例えそれが、イデを生み出した第6文明人であっても・・・。イデもエゴ。愛などというものではなくて・・・」
シェリル「そうなのよ。そのイデに取り込まれているのよ、私たちは・・・」
コスモ「取り込まれている? 無限力のイデにか・・・。でもさ、カーシャ。バッフクランの伝説にあるよな、良き力によってイデは目覚めるって」
カララ「でもイデを生むシステムを考えた第6文明人はなぜ滅びたのです? 私たちのようにコントロールできなかったからでしょう?」
コスモ「そりゃ、そう考えられるけど・・・」


さて、この討論のなかから「真実」を語っている人物を探すなら、それはジョリバただ一人だということが分かる。後は「真実」を元にした推理であり憶測であり妄想だ。

特に問題となるのがシェリルの思考だろう。
グロリアは一言もそんなことを言ってないのに「破壊に使ったら」という仮定をもとに妄想を広げて、ついには「取り込まれている」だ。無論、この妄想のベースにはバッフクランの伝説があると見ていいだろう。例の「悪人にイデを奪われると守りきれなかった英雄は罰せられて焼き殺され、暗黒を生む」というやつだ。

そして、もっとも科学的であるはずのシェリルがこうした妄想に取り憑かれたことが、クルーの思考に大きな影響を与えていく。シェリルは第29話「閃光の剣」でもソロシップを襲う月基地の兵士に対し「こんなことをしていてはイデに滅ぼされるわ!」と絶叫しているが、それが根拠のないシェリルの妄想であることは上記の討論で分かる。
だが、第32話「運命の炎のなかで」ではベスが「われわれはイデによって滅ぼされないと信じよう」と言い、第34話「流星おちる果て」ではカーシャまでが「イデに好かれるためには無関係な生物を殺すことを避けたほうがいいと思いません?」と言う。

さらに書いておくと、第35話「暗黒からの浮上」にはシェリルの
そうね、イデの力、良き心の現れなんていうけれど、この破壊力は悪魔の力よ
という発言があるが、この「良き心」とは何のことか。伝説にあるのは「良き力」であって「良き心」ではないはず。
ぼくの乱筆のメモによれば、この「良き心」を劇中で初めて使ったのは第33話「ワフト空域の賭け」でのハタリだ。
イデは良き心によって、より良く発動するという伝説が俺には気になる

・・・一体全体この妄想の肥大ぶりはどうしたことか。
その原因を辿っていけば、やはりそこにはカララがいる。
イデは自己の存在を他のものに侵略される前に他者を滅ぼす。例えそれが、イデを生み出した第6文明人であっても・・・
この発言だ。もちろんこれはカララの個人的な考えだ。根拠はない。
だが、あの重苦しい空気の中で、このカララのたわごとがシェリルの妄想を増幅させてしまった。そしてそれは、いつしかグロリアが提示した「真実」であるかのように、クルーの間に広まっていった・・・。


さて、ここまでの話は『伝説巨神イデオン』が、いかに人間というものをリアルに描いた作品かというマンセーにしかならない。この作品の恐ろしいほどの深みはここからだ。

ソロシップのクルーたちが、グロリアを使うことでイデの「真実」に迫ろうとしたように、相手方であるバッフクランも別のルートからイデを研究していた。その成果の一つが、ソロシップに潜伏したギジェの口から語られることになるが、それはこうだ(第30話「捨て身の狙撃者」)。

シェリル「バッフクランではイデをどのようなエネルギーと考えているのです?」
ギジェ「数十億の第6文明人の意思の集中です」
シェリル「意思の力・・・」
ギジェ「それだけではない。イデは我々の意思さえも取り込んでいっているのではないかと考えます」
シェリル「ええ、でなければイデオンは動き出しはしなかった」


このギジェの発言は信頼するに値するものだろう。仮にも地球人以上のテクノロジーを持つバッフクランを代表しての研究成果まで疑っていたのでは、話がぜんぜん進まない。また、この頃のギジェの立場と目的を考えれば、この場面で彼がシェリルにいいかげんなことを言う理由がない。イデは確かに、人間の意思を取り込んでいく存在なのだろう。

だとすれば、ここには戦慄すべき事態が浮かび上がってくる。
ソロシップの人々が漠然と持っている意思、すなわちイデによって滅ぼされるという妄想。
イデが、これに限ってだけは取り込まないという保証はどこにもないってことだ。

つづく


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。