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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
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伝説巨神イデオン バッフ・クラン

ギジェ

いきなり話を本題の方に戻すが、もしも「24時間テレビ」に参加することで手塚治虫が矛盾や欺瞞のたぐいを犯したとして、それが「子どもに対して誠実でない」「子どもに嘘をついている」と思ったとき、その対処としてはどんな方法が考えられるだろうか。
富野監督はクリエイターだ。クリエイターなら、やはり自分の作品の中で、その矛盾や欺瞞を曝こうとするんじゃなかろうか。それはつまり、「愚か」である人間に、「生命の尊厳」というお題目を与えてみることだ。そこに本当に矛盾や欺瞞のたぐいがあるのであれば、それらは物語の中で自ずとその正体を現すはずだ。

「24時間テレビ」の精神的な根拠に、いわゆる戦後民主主義があることに異論を唱える人は多くはないだろう。「愛は地球を救う」というが、このときの「愛」の主体はあくまで「個人」を起点にしているはずだ。ひとりひとりの「愛」が寄り集まることで、地球をも救うほどのパワーになる。そんなところだろう。

だが、手塚治虫は一貫して人間の愚かさを描いてきた。人間が本来愚かな存在であることを熟知していた。
そんな愚かな個々の人間に「生命の尊厳」を与えたらどうなるか。
命どぅ宝」という言葉があるが、大概の人間は、自分の命を守ることを第一に考えるんじゃないか?


『伝説巨神イデオン』では、人間を人間という概念ではなく、「個人」として扱おうとする意図を随所に見ることができると思う。
それはまず、地球人側の登場人物が乗る船、「ソロシップ」に表されている。

ソロ星脱出時点でのソロシップ内部には、(役柄のない非戦闘員は別として)親子関係もなければ夫婦関係もなく、上司部下の関係もなければ、深い友情で結ばれたような人たちもいない。要するに、みんなが「個」だ。
しかもそのソロシップは、宇宙を逃げ回るという以外の目的を持たない船だ。これを「個」の側から見れば、自分の命を守ることだけに意識を集中することに、十分な正当性を与えられている状態だと言えるだろう。

この、ソロシップ内部を「個」の集団に保つことが『イデオン』の物語にとって重視されていた証拠には、後から「クルー」に加わったカララとギジェの存在がある。バッフクラン人であるこの二人は、それまで所属していた関係性から完全に断ち切られた時点で「クルー」として認められた。つまりは「個」になったとき、ということだ。

さらには、主人公たちの戦う「敵」からもそのことは分かる。
『機動戦士ガンダム』における「敵」は、ジオンという全体主義の国家だった。理念や理想を掲げる相手と、アムロらは戦わされた。そのことによって『ガンダム』は、アムロたちが理念や理想のために戦っているわけではないことを表現した。
『伝説巨神イデオン』では、「敵」は封建制を思わせる「侍」の国、バッフクラン。戦後民主主義VS全体主義の次は、戦後民主主義VS封建制だ。富野監督がぼくらの戦後民主主義に揺さぶりを掛けようとしていることは間違いない。

このバッフクランが突きつけるもの。
それは彼らが、生きなければならない理由、または死ねる理由を持っているということだ。血や名誉、あるいはもっと下世話に一族郎党の繁栄でもいいんだが、とにかくバッフクラン人の生と死には彼らなりの意味や意義がある。社会との繋がりの中で、自分の命が存在しているという意識がある。だからあれほど高度な科学力を持ちながら、彼らは「イデの伝説」にも突き動かされる。

ソロシップに乗り込んでからのギジェの異様なまでの自己卑下と羞恥心は、まさに彼が「イデの発現を見たい」という個人的理由だけによって生存していることから来るものだ。バッフクラン人にとっては、自分のためだけに生きることは、ひどく恥ずかしいことなんだろう。

では翻って地球人側はどうか。
地球市民だかコスモポリタンだか知らないが、コスモ達がそういう状況にあることは見たまんまのことで、彼らには生きなければならない理由も死ねる理由もないことは確かなことだ。コスモ達は、ただひたすら死にたくないだけだ。

もちろんだからと言って『イデオン』の主張するものが、封建制へ帰れ、というような素っ頓狂なものだと言う訳じゃない。それはあくまで、ソロシップを含む地球人側全体が、「個」の集団であることを強調しているだけのことだろう。

つづく

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