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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
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伝説巨神イデオン アジアン、キャラル、地球 〜日本国憲法

悔し涙

伝説巨神イデオン』の世界では、地球人はいわゆる「世界政府」を実現した後ということになっている。そこでは人種の壁もなく、言語も統一されている。まさに、ヒューマニズムが目指す理想の社会がそこにある。国家なきワンワールドだ。人間は不要な属性から解放され、ただ一個の個人として存在している。

その地球人たちはやがて、人口増加への対処か、はたまた資源の確保かは定かでないが、宇宙に進出して植民星を建設するようになった。ただし、その植民星もあくまで地球の延長としての「大地」のひとつに過ぎず、地球人は地球人、植民星が別の国家になったというわけではなかった。

ソロシップが「個人」の寄り集まりであることは前回書いたが、こうしてみると地球人の世界全体も、実は「個人」の集合として設定されていることがよく分かる。隅から隅まで、どこを見ても「個人」しかいないのが『イデオン』の地球側の世界だ。

ではそんな舞台設定をしておいて、そこで描かれたものとは何だったのか。
それはずばり、「個」のもつ排他性だろう。


バッフクランに追われる身となったソロシップは補給のため、あるいは休息のため、地球人の移民星に立ち寄る。
しかしそのどこでも彼らは迷惑がられ、拒絶され、排斥されてしまう。

「お前達もバッフクランと同じようなもんだろう」
「住む星が違えば、すでに同じ地球人ではないのよ」(第18話「アジアンの裏切り」)

「あんたたちのおかげでバッフクランって異星人が攻めてきたんじゃない。出て行って欲しいな、今すぐ」(第23話「戦慄・囮の星」)

「アジアンを巻き添えにした貴様たちに何が言える。私たちは私たちの力で身を守る必要があるんだ」(第37話「憎しみの植民星」)

こうした地球人へのソロシップへの対応の極めつけが、母星のはずの地球が取った行動だ。
地球政府はソロシップの受け入れを拒否し、それどころか防御用ミサイルを配備して、バッフクランを引き連れてソロシップがどこかに去っていくのをじっと待つ戦法に出た。ソロシップは母星からも見捨てられた・・・。

こうした地球人の有りようとは、要するに人間に命を大切にさせたことの結果が表されているのだとぼくは思う。人間は「愚か」なんだから、「生命の尊厳」を与えればただただ自分の身を守ることを考えるものだろう。誰もその行動を責めることはできない。「個人」はなによりも優先され、尊重されなければならないのだから、まず自分の「個」を守ることは当然の権利だ。例えそれが、他の「個」を排除する結果であってもだ。

何回か前の記事で、手塚はヒューマニズムと妥協することで、戦後民主主義とも手を結んでしまった云々というようなことを書いたが、結局のところ、それを実際に表現として具現化してしまえばこんなものになる。いくら表面的な言葉だけを飾ったところで、その実態は他者への排他性にしか繋がらない。

そしてそのことは、ただ手塚の「嘘」にとどまるものではなく、現実に起こっていることでもある。
「個人の尊厳」と「絶対平和主義」を柱とする日本国憲法、そしてその精神である戦後民主主義がこれまで何をしてきたか。自分だけが平和であればいいと引きこもり、台湾でも朝鮮でもベトナムでも知らんぷり。「個人の尊厳」を謳いながら、拉致被害者は放置してきた。チベットウイグルも俺の知ったことか。

何のことはない。
ソロシップを追い出そうとしたアジアンやキャラル、そして地球とは、戦後日本の姿そのものだ。
そこで尊重されるべき「個人」なんて、徹頭徹尾、自分のことだけじゃないか。
まるで富野監督は手塚の「嘘」を露呈させることで、戦後日本の「嘘」、その偽善や欺瞞まで曝こうとしているかのようだ。

しかしそんな暗澹たる状況の中、やがてソロシップの人々は「個」であることを乗り越えようとしていくようになる。始めはいがみ合い、エゴ丸出しだったクルーたちの間には協力と調和が生まれ、ついには自分たちを犠牲にすることで(宇宙の果てまで逃亡することで)問題を解決しようとする境地に至るようになる。

が、時すでに遅し。
イデは発動してしまうのだった。

つづく


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