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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
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伝説巨神イデオン なぜ生きてきたの!

涙

伝説巨神イデオン』の分かりにくさ、しかしそれにも関わらず感じられるリアリティの正体は、劇中で刻々と移ろいゆく「イデ」と「人」にその理由があるとぼくは思っている。人が変わればイデも変わる。イデが変わることが、また人を変えていく。
しかし、もしもイデが「もう一人の私」、つまりは人の心の増幅装置でしかないのだとしたら、ここで扱われているものはただただ人の心。それも、上っ面を取っ払った、奥底に秘められた本心だということになる。果たして人はそこで、何を思い、何を願っているというのだろうか・・・。

などとポエミーなことを書いていると古い友人に笑われるので、いつもの調子に戻す。

始めの頃、覚醒したばかりのイデは、まだ純粋に自己防衛本能しか持たない無目的な存在だった。イデは、コスモ、デク、ルウの順に、より強い恐怖心に呼応していくが、まだその周囲に人は少なく、取り込むべき意思はバラバラなものだった。イデの行動を決定づけるような「心」は何もなかった。

やがて戦闘が激化すると、いよいよイデの周囲には人の「心」が集まり始める。相手への恐怖、そして憎悪がイデに取り込まれ、イデの力は次第にパワーアップしていく。
いち早くその危険性に気がついたソロシップのクルーたちは、「良き心」を持つことがイデを押さえる鍵になると考えるが、戦いの現実がそれを許してはくれなかった。恐怖と憎悪は、際限なくイデの力を巨大化させていくのだった。

が、そんな戦場にあって、他の人間とは異なる思いを持つ人が一人だけいた。
カララだ。

もともと「愛は地球を救う」並に空想的な理想主義を持っていたカララだが、第35話「暗黒からの浮上」でベスの子を妊娠していることに気がついてからは、再びその思いを強めていた形跡がある。
それがこのセリフだ。

私たちが育て上げてきた良き心は、次に続く人たちが受け継いでくれます」(『発動編』)

ドバとの和解交渉に敗れ、イデの守りでかろうじてイデオンに帰還したカララのこのセリフに、カーシャは驚き、コスモも「よくも先のことまで考えられるもんだ」と呆れている。つまり、そんなことを考えていたのはカララだけだったということだ。

ここに「イデ」が現すべき「心」がまた一つ増えた。
敵対する相手を滅ぼしたいという憎悪、イデに滅ぼされるという恐怖、そして、新たなる時代への希望だ。
ぼくはここにはすでに、この物語の終末が完全に姿を現してしまっているように思える。
つまり、メシアをメシアたらしめたのは、他ならぬカララだったんじゃないかと言うことだ。


それにしても、そんなカララの最期は悲しい。
ソロシップにあっても比較的「公」の感覚があり、調和と協力という理想主義を持ち続けていたカララは、姉ハルルへのむき出しの憎悪を抱いたまま死んでいった。「公」から「私(個)」へ。その瞬間、殺意しか持たぬカララの死は孤独だった。

もっともこれは、ハルルとドバにも当てはまることだろう。
バッフクラン一族の安全と繁栄のためにソロシップを追うこの親子は、ギンドロ(の幽霊?)が認めたように本心から「公」の心を持っていたのだろう。だが、その奥底に秘めてきた個人的理由、すなわち父親としての悲しみ、殺された恋人への復讐心を吐露し、それに支配されたとき、死が訪れた。彼らもまた、たった一人で死んでいくのだった。

ソロシップの人々も悲しい。
カーシャはソロシップにあっては最もエゴの強い人間として描かれてきた。気が強く、協調性に乏しい。カララやギジェを受け入れるのにも、一番時間がかかった人間だった。しかしそんなカーシャも戦いの中で変わっていった。自らイデオンを降りてルウとメシアの守りにつき、母を失ったメシアを心配するアーシュラにやさしい言葉もかけた。カーシャなりに、調和と協力を目指していたのだろう。
だが、コスモに、イデは現人類を滅ぼして新しい知的生命を作ろうとしていると言われれば、こう叫ぶしかない。

じゃあわたしたちは、なぜ生きてきたの!

発動したイデの前では、人が調和や協力を求めて努力することさえ無意味だった。人の心の奥底に潜む恐怖心や憎悪、自己中心的なエゴ・・・何でもいいが、とにかくそういった「悪しき心」の前には、人間の理性的な意思など無力だった。
ガンドロワが超新星のエネルギーを集約するように、イデが人の心の奥底を集約するとしたなら、そこにはカーシャ自身の心の暗部も含まれていることになる。「もう一人の私」が、いまカーシャを滅ぼそうとしている・・・。

つづく


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