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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
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コードギアス 反逆のルルーシュ

コードギアスの世界地図

コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006ー08年)の世界で、日本は「ブリタニア帝国」とやらに占領されてその属領となり「自由と権利とそして名前を奪われた」。日本は「エリア11」と呼ばれる植民地となった。
このときブリタニア帝国の圧政があまりも苛烈だったのと、その本土がアメリカ大陸にあったことから、ネット上では「反日だ」「反米だ」といった意見も見られる。その背景には、毎日放送の竹田青滋というプロデューサーの左翼的な思想があるようで、『コードギアス』については氏のこんな発言がある。

僕は大学で明治から戦前にかけての日本の朝鮮半島支配を専攻してしていたんですが、ブリタニア帝国が日本に対してやっていることは、かつて日本が朝鮮半島に対してやったことと、共通する部分もあるように思います。靖国問題や改憲議論が取りざたされている今、若いひとたちが『コードギアス』を見て、かつて日本がやって来たことを想像してもらえるのは、いいことなんじゃないかと。(『アニメージュ』2006年12月号)


まぁ個人が何を考えようがその人の勝手だが、日本は朝鮮と戦争したわけじゃないし、植民地にもしていないし、「ゲットー」に押し込めて女子供かまわず虐殺したりもしていない。反対に、文字を復活させたり公共工事に励んだりして、朝鮮半島の近代化に尽力したことは今ではすっかり有名になっている(ネット限定らしいが)。

一方、同じ本のインタビューでは、監督の谷口悟朗氏がブリタニア帝国について、「よくアメリカのことかと訊かれますが、だったらもっと国としてのアメリカにしますよ」と明確に否定している。確かにアメリカの歴史を考えれば「帝国」なんて水と油なわけで、それをアメリカと感じて違和感がないなら、「米帝」だとか「日帝」だとかの左翼用語に慣らされ過ぎの気がする。

決定的なのは、ルルーシュ(主人公)が23話で日本を独立させた際の国名だ。
合衆国日本」。
初めて聞いた時は思わずのけぞってしまったが、それは「あらゆる人種、歴史、主義を受け入れる広さと、強者が弱者を虐げない矜持をもつ国」だそうで、イメージ的にはこれぞアメリカ合衆国ってところだろう(黒人差別の歴史は別だが)。

つまりは、ごく最初の方こそアメリカ大陸に存在するブリタニア帝国が現実のアメリカ合衆国に見えるが、だんだんとそれは監督さんの言われるとおり、ただの「強大な敵」として記号化していく。中華連邦なんてのも出てきて九州に傀儡政権を作ろうと図るが、こっちだって「天子さま」が存在していて中共っぽさは皆無、かつての清朝あたりがイメージ的に近い。

しかし仮にそうだとして、アメリカも中共もないこの世界で、なんで「日本」だけが日本として描かれなければならないのか。租界の外側のゲットーに押し込められて、差別されて虐殺される。半分に削られてしまった痛々しい富士山。日の丸ハチマキの前時代的なレジスタンス。日本万歳のかけ声で実行される自爆テロ。「リフレイン」なる麻薬に溺れる人々・・・。

この執拗なまでの日本人イジメは何なのか。
それを制作側の(一部の人の)思想面に求めると、『コードギアス』は「反日」に見える。
が、おそらくそれは違う。

レジスタンス「黒の騎士団」を率いるルルーシュは、実はブリタニア帝国の第11皇子なんだが、個人的な理由から仮面を被ってブリタニア帝国と戦っている。そんなルルーシュの第9話でのセリフ。
エリア11は日本だった頃に比べてよくなったとも言える。ブリタニアの植民エリアに入れたおかげで、軍事も経済も格段に安定した。市民権だって手に入る。役所に行って手続きをすれば、名誉ブリタニア人になれるじゃないか。あとはプライドの問題・・・。ま、そっちを大事にしたい気持ちもわかるけどね

プライドの問題・・・。
だとすれば、ここで問われているのは「怒り」だろう。
あれだけ酷い描かれ方をして、日本人なら苛立たない方がどうかしている。
どこか遠い星の宇宙人じゃなく、ぼくらの同胞が苦しんでるんだから、ちょっとは真剣にその救済を考えるだろう。


脚本家の大河内一楼氏は、『クリティカル・ゼロ コードギアス 反逆のルルーシュ』(2009年)という本の中で

『コードギアス』のときは全50話の予定だったのですが、第1話と第25話(第1期の最終回)、第50話(『R2』の最終回)だけを決めていたんです。


と語っている。つまり始めから結末は決まっていたということで、『R2』を続編と考えるのは微妙に違うだろう。『コードギアス』は全50話でひとつの物語ということだ。では、もうひとつ、あらかじめ決まっていた第25話はどう終わったか。
第一次東京決戦での、黒の騎士団の壊滅だ。
ここで日本人による大規模レジスタンスは完全に潰えてしまった。

しかし代わって第26話から始まる『R2』で、救済の道は二つ示された。
ひとつはルルーシュの父シャルルが計画した「ラグナレクの接続」だが、これはルルーシュによって潰された。
そしてもうひとつの道、ルルーシュ自身の計画「ゼロレクイエム」によって日本は独立を回復し、日本人が救済された。

その過程はこう。
中華連邦が九州ブロックに作った傀儡政権をルルーシュは潰す。続いてブリタニアが建設した「行政特区ニッポン」、その中では「日本人」を名乗れるし、ブリタニア人の特権も存在しないが、やはりルルーシュに潰される。そして先述した「合衆国日本」が誕生。『R2』で大陸に渡ったルルーシュらは中華連邦を内部崩壊させて民主化、「合衆国中華」を建設。さらには、日中ふたつの「合衆国」を中心に47カ国が連合し、「超合集国」が誕生する。「超合集国」は固有の軍事力を放棄し、どの国家にも属さない戦闘集団「黒の騎士団」に安全保障を委託することを決定。ルルーシュはそのCEOとして全軍を日本奪還に振り向けるが、第二次東京決戦もブリタニア軍の勝利に終わる。その後何やかんやあって父シャルルを殺したルルーシュは、うまいことブリタニア皇帝の座を乗っ取ると、歴代皇帝陵の破壊・貴族制度の廃止・財閥解体・植民地の解放などの民主化政策を行う。このとき、名目上は日本が独立する。そして実兄シュナイゼルとの最終決戦に勝利したルルーシュは、ブリタニア第99代皇帝と黒の騎士団CEOと超合集国議長を兼ねる、とんでもない権力者となる。このとき日本は皇帝直轄領に。
そしてそのうえで、ルルーシュは大衆の目前で自分を暗殺させる・・・。


わざとゴチャゴチャさせて書いてみたが、劇中で日本が真に独立国となり、世界に平和が訪れるには、こんだけのプロセス、手数が必要だったってことだ。全ての国家を民主化させ、軍事力の一斉放棄(黒の騎士団への委譲)を行って、世界はようやく「話し合いというひとつのテーブルにつくことができる」。そのためには強引な独裁政治が一時的に必要だったし、そして最後は軋轢や憎悪を一身に引き受けて、ひとりの独裁者がこの世から消えなければならなかった・・・。

・・・もちろん、こんなのは「マンガ」でしかない。
しかし、日本人への圧政、差別や虐待に本気で「怒り」、その心のままに解放と平和を願ったとき、初めてその先に求められる努力の大きさに呆然とできるだろう。ここまでやらなければ軍隊は放棄できず、戦争はなくせないのかと。

だからおそらく『コードギアス』をみた少年少女たちが、思考停止の平和主義に陥ることはないだろう。ルルーシュ流の「世界政府の作り方」を知った後で、具体策にかける精神主義に心動かされる者はいない。

つづく

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