プロフィール

竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
一つの 「カテゴリ」 で一つの記事となってます(記事は古い順に並んでます)。同世代のおっさん向け。

カテゴリ
もくじ

全ての記事タイトルを表示する

月別アーカイブ
ブログ内検索
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

主要記事
リンク
応援中
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
趣味 - シュミラン

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』(2013年)

ハーロック
ここまで、日本人が自然に持っている美意識や美徳として、「自己犠牲の精神」「相互扶助の精神」「約束を守ることの尊さ」を描いた作品をみてきたが、今回はその先を示すメッセージを持つアニメを取り上げる。お題は松本零士の代表作、『キャプテンハーロック』だ。

ハーロック映画の旧作は、1982年公開の『わが青春のアルカディア』。
その世界では、地球は「イルミダス」という宇宙人との戦争に敗北して、占領統治を受けていた。イルミダス人は地球人を奴隷扱いにしていて、「この薄汚い黄色のネズミめ」とののしって、「フライドチキン」を投げつけてくる。イルミダス人は言う。

地球人はすぐに新しい環境に順応する。つまり、昨日まで敵だとわめいていた我々に、今日は尻尾を振ってついてくる

地球側の「協力内閣首相」は、イルミダスに協力すれば安全が得られると言って、ハーロックにトカーガ星侵略の先兵になれと命じてくる。ハーロックは地球を脱出し、イルミダスへのレジタンスを開始する・・・。

説明の必要もないと思うが、要するに「地球」=敗戦後の日本で、80年代になってすっかり見えにくくなったアメリカの支配と戦い続けているのがキャプテン・ハーロックということだ。

60〜80年代には同じように「アメリカ」をテーマに含んだ作品がゴロゴロあった。このブログで取り上げたものでいえば、『ジャイアントロボ』『帰ってきたウルトラマン』『マジンガーZ』『機動戦士ガンダム』『戦闘メカ・ザブングル』など。

それが、1982年の『超時空要塞マクロス』あたりから「アメリカ」の影が急速に薄くなっていった原因について、80年代のバブル経済による日本人の自信回復があったとぼくは見ている。この頃は『マクロス』以外にも『ナウシカ』や『うる星やつら』など、少女を主役にした作品が多数ヒットして、男の子向けのウルトラマンなどは1980年の『ウルトラマン80』でいったんシリーズを休止している。

つまり、もう戦後ではないんだと、我々は軍事力なしにアメリカの土地を占領(実際は購入)しているじゃないかと、経済力で戦った第二次日米戦争の勝者はわれわれ日本だと、そんな感覚だろう。

しかし結局は、1988年に押しつけられた「日経平均先物」の売り浴びせを契機に、バブルは崩壊させられた。日本はふたたびアメリカに敗戦し、金融ビッグバンやら規制緩和やらと、経済活動でも様々な支配を受け始めた。

エヴァンゲリオン』が、あたかもアメリカなんて問題外かのように扱って、現実逃避(オカルト)に走った気持ちも良く分かるし、そこから「セカイ系」なんてスーパー内向的な作品群が派生したのも同情できる。

日本はもうダメだ。朝日新聞や日経新聞には、連日のようにそう書いてあるじゃないか・・・。

だから、かつて地球(=日本)を見捨てたキャプテン・ハーロックは、今度は地球を破壊しようとする。

キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』(2013年・東映)の世界では、宇宙に広がった5000億の人類が一斉に地球に帰還しようとして、戦争状態に突入してしまう。人類はその調停役として「ガイア・サンクション」なる統治機構をつくり、地球は「聖地」として封印され、今も青く美しい外観を保っていた。

しかしその姿はウソだった。
美しい地球はホログラム衛星が作り出した虚像で、本当の地球は赤くただれた大地をガスが覆う、みにくい姿をしていた。

その原因を作ったのは、他でもない、われらがキャプテン・ハーロックだった。
ガイア・サンクションから地球の警備を任されたハーロックだったが、一部の支配者層が秘かに地球への居住を始めたことに激怒して反旗を翻すと、「ダークマター物質」で地球を覆い尽くしてしまったのだった。

自分の手で地球を死の星にしてしまったハーロックは、宇宙そのもののリセットを企て、「次元振動弾」なる爆弾を99の惑星にセット、最後の一つを地球に仕掛けるべく「ガイア・サンクション」との最終戦争に突入した。

・・・と、ここまで聞くと、悪役は地球を死の星にしたハーロックじゃないの?
という疑問が沸くが、正解だろう。
主役は、ガイア・サンクションから送り込まれた工作員、ヤマの方だ。

一度は任務どおりにハーロックを捕らえたヤマは、降り立った地上で一輪の花を見つけて衝撃を受ける。
地球は何度だって甦る、人間だって
ヤマはハーロックを解放すると、アルカディア号から全宇宙に同時放送を行い、地球の本当の姿を実況中継する。
真実から逃げずに向き合ってこそ、はじめて俺たちは本当の一歩を踏み出すことができる

真実を全人類にさらされたガイア・サンクションは地球を破壊しようとするが、アルカディア号がそれを阻止する。戦いは終わり、戦闘で眼を傷つけたヤマにハーロックが眼帯を手渡し、ヤマの舵でアルカディア号は宇宙の闇に旅立っていく・・・。



細かいストーリーは映画をみてもらうとして、旧作と新作におけるハーロックの立場は、『日本沈没』の新旧作における山本総理に近いようにぼくは感じる。『日本沈没』旧作で「何もせん方がええ」という極論を完全には否定できなかった山本総理は、新作では災害で落命した。

『わが青春のアルカディア』で地球を見捨てたハーロックは、新作『SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK』では自らが地球崩壊の原因を作ってしまう。そして最後は、ヤマという若者にキャプテンの座を譲ることになった。

いずれも旧作は否定され、新作で新たなメッセージが発せられているとぼくは思う。
ハーロックの新作で言えば「真実から逃げずに向き合ってこそ、はじめて俺たちは本当の一歩を踏み出すことができる」が、そのメッセージだろう。

脚本は、『亡国のイージス』や『終戦のローレライ』の福井晴敏だ。メッセージが左巻きである可能性はゼロに近い。

いわゆる「サヨク」の反義語としての「保守」が意味するのものは何か。
ぼくはそれを、歴史の事実を知った結果、だと考えている。イデオロギーではないので、「染まったり」「かぶれたり」する性質のものではない。かつ不可逆的だ。

例えば、いわゆる「従軍慰安婦」を軍が強制連行した証拠はない、とか、いわゆる「南京大虐殺」の実在を裏付ける物証はない、とか、東京裁判や日本国憲法制定は国際法違反だ、とか、戦後GHQは「WGIP」で日本人を洗脳した、とか、そういった歴史の事実を知っていって、なおサヨクでいられるのは無理がある。サヨクでいられるのは、事実を知らないか、何らかの事情によって知らない事にしているかだ。

そして、サヨクでいるうちは「本当の一歩を踏み出すこと」はできない。
彼らは日本を(ウソの)過去に縛り付けようとしているのだから当たり前だ。『恐怖新聞』とかに出てくる、海で足にすがりついて溺れさせようとする水死者の霊、サヨクにはああいうイメージしかない。

※参考動画
【筆坂秀世】日本共産党と中韓~左から右へ大転換してわかったこと[桜H27/7/7]

というわけで、1980年前後、もっともラディカルに戦後日本の本質を描いた作品のリメイクが、自らその戦後的な枠組みを全否定したことには、大きな意義があるとぼくは思う。イデオロギーによるのではなく、普通の日本人が自然に持っている美意識や美徳が、次の時代の日本に反映される気運は、確実に芽生えている。


つづく


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。