プロフィール

竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
一つの 「カテゴリ」 で一つの記事となってます(記事は古い順に並んでます)。同世代のおっさん向け。

カテゴリ
もくじ

全ての記事タイトルを表示する

月別アーカイブ
ブログ内検索
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

主要記事
リンク
応援中
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
趣味 - シュミラン

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ウルトラ作戦第一号 〜ハヤタの願い

ウルトラマンの動機

ウルトラマン第一話『ウルトラ作戦第一号』は、宇宙空間を逃げる青く光る玉を、赤く光る玉が追跡している場面から始まる。二つの玉は地球に下降してくるが、ちょうどビートル号でパトロール中だった科特隊のハヤタ隊員がそれに気付き、ハヤタも青い玉の追跡を始める。やがて青い玉は竜ヶ森の湖に沈んでいき、それを追うハヤタだったが、後から来た赤い玉のほうと正面衝突し、森の中に墜落してしまう。ハヤタはビートルから投げ出されて地面に倒れているが、不思議と体に損傷はない。やがてハヤタの体は宙に浮き、上空の赤い玉に吸い込まれていく。

以下は赤く光る玉のなかで交わされたハヤタとウルトラマンのファーストコンタクトの模様だ。

「おい誰だ、そこにいるのは。君は一体何者だ」
「M78星雲の宇宙人だ」
「M78星雲の宇宙人?」
「そうだ。遠い宇宙からベムラーを宇宙の墓場に運ぶ途中、ベムラーに逃げだされて、それを追って地球に来た」
「ベムラー?」
「宇宙の平和を乱す、悪魔のような怪獣だ。申し訳ないことをした、ハヤタ隊員。その代わり、私の命を君にあげよう」
「君の命を? 君はどうなるんだ」
「君と一心同体になるのだ。そして地球の平和のために働きたい」
そう言うとウルトラマンはハヤタにベーターカプセルを渡し、
「困った時にこれを使うのだ」


二人の会話を長々と引用したのにはワケがある。
それは、この二人のそもそもの馴れ初めをきちんと把握しておかないと、『ウルトラマン』の全体像が見えなくなるからだ。例えば、ウルトラマンが光の国から地球を助けに来た善意の宇宙人、であるかのような勘違いをしてしまう、ということだ。
もちろん、今さら力説するまでもなく、ウルトラマンはたまたま殺してしまったハヤタに自分の命を預けてしまったから地球にとどまったというのが真相だ。さらにはハヤタが科特隊のメンバーに説明したように「彼は自分の宇宙船が爆発して自分の星に帰れなくなった」。

ここで『ウルトラマン』に詳しい人なら、それならどうしてウルトラマンはM78星雲のゾフィーに連絡して、すぐに「命」を持って来てもらわなかったのか、という疑問を持つかもしれない。『ウルトラマン』の最終回は、ゾフィーが持って来た2つの「命」のうちの1つを、ハヤタに与えることで終わったからだ。
しかしその疑問は実は、この後のウルトラシリーズでみられた、呼べばすぐにウルトラ兄弟がM78星雲からやってくるという展開を知っているから生まれるものだ。この初代『ウルトラマン』の世界には、ウルトラ兄弟という概念はまだ存在しない。だから常識的に考えるなら、ハヤタを殺してしまった時点でウルトラマンはすでにゾフィーに救援を頼んでいたが、ゾフィーが地球にやってくるまで約1年(39話分)を要してしまった、といったところが正解だと思う。

それはそうと、上記の二人の対話には、結構見過ごされがちでいて、実際は非常に重大な部分がある。それは、ウルトラマンは地球の平和を守るためにハヤタと一心同体になったわけではない、ということだ。
会話にあるように、ウルトラマンはまだ名乗りもしないハヤタの名前を知っていた。これはウルトラマンがハヤタに残留する思念を読んだ、という意味だろう。そしてそうであれば、ウルトラマンはその死の直前までハヤタが願っていた地球の平和とその防衛への思いも知ったことだろう。
ウルトラマンはこのハヤタの願い、思いを汲み上げた。

つまり、地球の平和を守りたかったのはハヤタであって、ウルトラマンではない。
ウルトラマンはハヤタに命を預けただけだったが、そのハヤタが願ったから怪獣と戦うことになった。
「申し訳ないことをした、ハヤタ隊員。その代わり、私の命を君にあげよう」がまず先にあって、「そして地球の平和のために働きたい」と続くというわけだ。
この時、もしもウルトラマンが殺してしまったのが野球少年だったなら、ウルトラマンはその力で少年を世界のホームランキングにしてくれたかもしれない。あるいは医学青年だったらガンの特効薬を開発する力を与えてくれたかもしれないし、文学青年ならノーベル賞をとれる小説を書かせてくれたかもしれない・・・。


ウルトラマンとは、ハヤタという人間の願望や意思の実現でしかなかった。そしてこれこそが、ウルトラマンが見ず知らずの地球人のために怪獣や宇宙人と戦う動機だった。
ウルトラマンの生みの親、金城哲夫は、まだ『ベムラー』という企画の段階にあった彼のニューヒーローについてこう書いている。

「面白いことに、隊員たちが、ベムラーの登場を頼みにしている時は姿を見せず、ベムラーのことを忘れ、敵と必死に戦いあって、破れかけた時に忽然と登場する」(『金城哲夫ウルトラマン島唄』上原正三)

ベムラーはウルトラマンのように人間が変身するヒーローではなかったが、それでも金城哲夫が「人間の戦い」を重要視していたことが窺える。この「人間の戦い」を突き詰めていけば、おのずと人間自身が50mの巨人に巨大化して怪獣と戦うことになるだろう。
ウルトラマンとは、ある意味ではそうして巨大化したハヤタ自身だったとも言えるとぼくは思う。

つづく

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。