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竹波エーイチ

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1967年生まれのおっさん。
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仮面ライダー 本郷猛が戦う動機

本郷

『仮面ライダー』は「正義のヒーロー」による勧善懲悪の物語ではなかった。
それは反対に、本来は「正義のヒーロー」を否定するところから始まった、らしい。平山亨プロデューサーの述懐によれば、それを言い出したのは『ウルトラマンA』メインライターの市川森一だったそうだ。

正義のために戦うなんて言うのは止めましょう。ナチスだって正義を謳ったんだから、正義ってやつは判らない。悪者とは、どんなお題目を掲げていても人間の自由を奪う奴が悪者です。仮面ライダーは、我々人間の自由を奪う敵に対し人間の自由を守るために戦うのです。(『平山亨叢書1・仮面ライダー名人列伝』より)


そうして生まれたのが、おなじみのオープニングのナレーションだろう。
「仮面ライダー本郷猛は改造人間である。彼を改造したショッカーは、世界制覇をたくらむ悪の秘密結社である。仮面ライダーは人間の自由のために、ショッカーと戦うのだ」(※5秒以内で言うべし)

そしてそれは、作中でもはっきりと見ることができる。
もう忘れたよーという声も聞こえるので、一応、第一話「怪奇蜘蛛男」のあらすじを。

本郷猛は「城南大学生化学研究室」きっての秀才(IQ600!)で、趣味のオートバイのライダーとしても抜群の能力を誇っていた。性格は「全く子どものようなやつだ」とオートバイのトレーナー、立花藤兵衛氏に言われるくらい、素直で前向きな好青年だった。
しかしその優れた能力が仇となり、本郷はショッカーに拉致され、人体改造の手術をされてしまう。本郷の肉体は、常人離れした身体能力のサイボーグになってしまった。あとは脳を含めた頭部の改造が終われば、本郷はショッカーの手先になる。
そんな本郷を助けてくれたのは、同じくショッカーに拉致され人間改造の協力をさせられていた恩師、緑川博士だった。かろうじてショッカー基地を脱出した本郷は、一緒に逃げ延びた緑川博士にショッカーの陰謀を暴露すべきだと提案する。
「およばずながら、私も全力を尽くして人間の自由のために戦います」
しかしその直後、緑川博士は怪人蜘蛛男によって殺害され、その現場を目撃した娘の緑川ルリ子は、本郷が父を殺した犯人だと勘違いしてしまう・・・・。


他ならぬ本郷猛が、ショッカーによって「人間の自由」を奪われてしまった人間だった。だから本郷がショッカーと戦う動機のひとつには、ショッカーへの個人的な「復讐」があった。
それとルリ子に持たれてしまった殺人犯の嫌疑を解くことも、動機たりえるだろう。
さらには、本郷の脳手術を完成させて怪奇バッタ男にしようと付け狙うショッカーから、自己を防衛する必要もあった。

第2話「恐怖蝙蝠男」はマンション一棟が丸ごとショッカーの人体実験場にされるというエピソードだ。怪しいマンションを調べている本郷を尾行してきたルリ子はショッカーに捕らえられ、人間を狂わせるウィルスを打たれてしまう。この事件自体は本郷の活躍で解決し、ルリ子の本郷への疑いは晴れる。
しかし本郷は嘆く。
「立花さん、おれは戦う。ショッカーの被害者はおれを最後にしたいんだ」
「立花さん、ルリ子さんの心は溶けたかもしれないが、おれの体は・・・おれの体は同じことなんだ」

第4話「人喰いサラセニアン」。
姉をショッカーにさらわれた弟を励まそうとその手を握ってやった本郷だったが、力をセーブすることを忘れていて、あざができるほど強く握ってしまった。
「おれはショッカーによって、子どもをもあやせられない体になっていたのだ・・・」

第5話「怪人かまきり男」。
ショッカーに拉致されていた幼なじみの雨宮博士を救出した本郷は、博士が子どものころ鬼ごっこの名人だったことを引き合いに出してこう言う。
「ところが今は、二人ともショッカーの鬼に追われる仲になっちゃった・・・」

第8話「怪異! 蜂女」。
本郷のセリフ。
「おれが改造された部分を持っていることをルリ子さんには知られたくない。おれが普通の人間に戻るまでは・・・。」

以上、仮面ライダー1号が藤岡弘の事故で一時的に降板する13話までのエピソードから、本郷の戦う動機が垣間見える箇所を抜粋してみた。仮面ライダー本郷猛が、たしかに「正義の旗印」を掲げてはいなかったことが分かると思う。

繰り返しになるが、これは市川森一の提案を受けて、平山亨プロデューサーが実行した『仮面ライダー』の「肝」と言っても過言ではない重要な設定だった。
同書のなかで、平山プロデューサーは誇らしげに書いている。

「これは『仮面ライダー』をただのヒーローアクション物から一大跳躍させた大変な提案だったのだ」
「敵がショッカーだから戦うのではない。ショッカーが健気に生きる庶民の自由を奪い、悲しみに突き落とすから、その暴挙に対して怒りを燃やして、人間の自由を守るために戦う仮面ライダーの基本を(※市川森一は)作ってくれたのだ」


しかし現実には、そういった市川森一や平山亨の高邁な理想は実現せず、ぼくら子どもたちはごく自然に仮面ライダーを「正義のヒーロー」だと理解していたように思う。それは、結局のところでは仮面ライダーが、ひたすらショッカーとだけ戦ってしまったことによるのだろう。たまには泥棒を捕まえてみたり、汚職政治家に天誅を食らわしてみれば良かったのかもしれないが、番組の枠組み上、そうもいかない。

となれば、ぼくら子どもたちが仮面ライダー本郷猛を「正義」だと思った理由は、そうやって彼がひたすらショッカーと戦い続けたことにあるように思える。

つづく

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