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竹波エーイチ

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仮面ライダーX ~米ソの陰謀 GOD機関

Xライダー

仮面ライダーX』(1974)の「悪」は、”世界征服をたくらむ悪の秘密結社”ではなかった。「悪」はもっとリアルで恐ろしい設定がなされていた。その名も「GOD機関」。

「GOD機関とは、世界の対立する大国同士が秘かに手を握り、改造人間を使って日本全滅を狙う、恐怖の秘密組織である」「日本を滅亡させるため、巨大な悪の組織GODは、不気味な活動を始めた」(第1話ナレーション)


誰が聞いたって「対立する大国」とはアメリカとソ連を指していると思うはず。その両大国が裏で手を結び、再び日本を滅ぼしにやってきた。それがGOD。
それに対抗するのが、神敬介が変身する仮面ライダーXだ。神敬介はGODによって殺害されたが、人間工学の権威である父、神啓太郎博士の手でサイボーグとして復活した。

要するに『仮面ライダーX』の世界観は、GOD対神、米ソ対日本。
これは、1974年当時の朝鮮半島や中国の経済状況を考えれば、リアルに導かれる結論というものだろう。米ソ以外のどこの誰が、大金をかけてわざわざ日本を滅亡させるための闇の組織を作ったりするものか。
常識的かつ自然な思考から、GOD機関は設定されているとぼくは思う。

では、このGODの設定は誰が考え出したものなのか?
ぼくなりに何冊か『仮面ライダーX』について書いてある本を読んでみたのだが、はっきりとは分からなかった。
ただ一つだけ確かなことは、『仮面ライダーX』ではメインライターの交代が行われたということだ。それまでの伊上勝に代わって登用されたのは、長坂秀佳。『日本沈没』や『特捜最前線』などで知られる脚本家だ。

『KODANSHA Official File Magazine仮面ライダーVol.5』に掲載されている長坂秀佳へのインタビュー記事によると、『キカイダー』や『アクマイザー3』等では連日のように行われた石森章太郎邸での打ち合わせが、『仮面ライダーX』では全くなかったらしい。

「だからたぶん、平山さんって人は『こういうのをやってくれ』って具体的な打ち合わせをするより、『とにかくまあ書いてみてよ』ってところがあったから、『X』もそういう流れだったんじゃないかと思う。出来ているのは石ノ森さんのデザイン。あとはタイトルと役名くらいかな(笑)」(上記ムック本から引用)


という本人の談話からしても、GODの設定が長坂秀佳のアイデアによるものである可能性はかなり高いようにぼくは思う。と言うのも、長坂秀佳が関わると、その作品世界が隠し持っていた真相とでも言いたくなる別の顔が現れることが多々あるからだ。

例えば『ウルトラマンA』に初めて梅津ダン少年が登場した、第29話『ウルトラ6番目の弟』を書いたのが長坂秀佳だ。あの回では、梅津ダンの父親の言葉として北斗星司が目指すべき「父性」が具体的に示される一方、その本質を見誤って「ウルトラの星」の実在に「父性」を預けてしまった北斗の姿も描かれた。それによって、ウルトラはウルトラ、人間は人間、という永遠の平行線が引かれ、宇宙のエリートとして一段高い位置から人間を保護しているウルトラの真実が露呈した。

この長坂の脚本はぼくの見るところ、ウルトラという異星人ヒーローの息の根を止めてしまう性質のものだったが、一方でそれは、素直に見たままを誤魔化さずに書いただけのものでもあった。無償の弱者保護に励むウルトラに、何らかのエリート意識がないと言ったらウソになるだろう。あって当然だと思うし、そんなウルトラに偽善を感じるのであれば、ウルトラを卒業する日が来ているだけのことだ。

そんな長坂のストレートな視線は『人造人間キカイダー』でいよいよその冴えを増す。
元々は、石森章太郎ー平山亨ー伊上勝の『仮面ライダー』トリオの手で、『仮面ライダー』的世界の亜流として始まった『人造人間キカイダー』が異様な輝きを放ち始めるのは、長坂がメインライターに居座った終盤に入ってからだ。
言わずとしれた、ハカイダーの登場。

ハカイダー自体は石森章太郎の原作漫画にも登場するが、ぼくの見るところ、テレビ版のほうが数段深い。「まず、設定ありき」を旨とする長坂が、石森章太郎の設定を極限まで拡大した成果がハカイダーだろう。そこには石森と長坂の持つ、それぞれのテーマの違いも見られるように思うが、それはまたいずれ。


話を戻すと、とにかく長坂秀佳の手で書かれた『仮面ライダーX』は、現代日本に生きる日本人が現代日本を守るために戦うという、普通に考えればごく当たり前のヒーロー番組としてスタートした。Xは声高に「正義」を叫んだり、どこかの誰かの「エージェント」であったりはしない。日本を滅ぼそうとする米ソの陰謀から、この国を守ろうとしているだけだ。

が、残念ながら、長坂はたった4本の脚本を残しただけで『仮面ライダーX』を降板させられてしまう。
その原因は上記ムック本等によれば、主人公を裏切ってGODに走った恋人・涼子と、涼子に瓜二つの謎の女・霧子の登場、といったサスペンス要素や、ギリシア神話をモチーフにしたGOD怪人の親しみにくさなどが局サイドに嫌われたからだということだ。長坂自身はインタビュー記事のなかで、自分の態度が悪かったのだろう、と今ひとつ意味不明なことを言っている。

いずれにしても長坂降板後の『仮面ライダーX』の悪役GODは、いつの間にか”世界征服をたくらむ悪の秘密結社”に戻っていったのだった。

つづく

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