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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
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人造人間キカイダー ~バイオレットサザエの悪魔の恋

バイオレットサザエ・・・って長い名前だな、おい

人造人間キカイダー』第27話「バイオレットサザエの悪魔の恋」は、そのタイトルどおり、アンドロイド同士の「恋」が一応のテーマになっている。一応、というのは、本当にジロー=キカイダーとバイオレットサザエの間に恋愛感情が生まれたのかどうかが、いまいち定かではないからだ。

この回、ジローらは、「良心回路」の設計図を完成させたという荒木博士に会うために、大家荘という温泉旅館を目指していた。しかしその動きはいち早くダークにキャッチされ、荒木博士は設計図を渡すようにダークに脅迫される。
そこにジローが現れてバイオレットサザエとの戦闘になるが、悪魔笛に阻まれ、博士を助けられない。そして結局、大家荘に連れ戻された博士は脅迫に屈せず、バイオレットサザエに殺害されてしまう。滝壺に落下することでようやくキカイダーにチェンジできたジローは、大家荘でバイオレットサザエと再戦し、ダブルチョップを食らわせてこれを撃退。現場にいたもう一体のダークロボットを追って野外戦に移り、これも撃退した・・・。

問題はこの後だ。
大家荘に戻ったジローにミツコが言ったセリフで、テレビ版『人造人間キカイダー』は石ノ森章太郎のマンガ版から大きく逸脱していくことになるが、それはこんなセリフだった。

「あなたが完全になれば、ダークを全滅させることができるのよ。今みたいに苦しむこともなくなるのよ」

ここでミツコが言う「完全」とは、もちろん「良心回路」の完成を指す。
さらにその後のシーンでのプロフェッサー・ギルのセリフはこうだ。
「あれがやつの手に入って良心回路が完全なものにでもなれば、われわれダークは壊滅させられる・・・」

「良心回路」が完成すると、ダークが壊滅する・・・・。
こんな設定は石ノ森のマンガ版には存在しない。石ノ森版の「良心回路」とは、普通に考えるところの<心>である、とは、評論家の諌山陽太郎さんが『マンガ・特撮ヒーローの倫理学』で述べられているとおりだ。

それでは何故、脚本家・長坂秀佳は「良心回路」に別の意味を与えていったのか?
それは、「良心回路」を普通に考えるところの<心>と捉えたのでは、全体に矛盾が生じてしまうことに感づいたからではないか、とぼくは思う。
第27話の続きはこうだ。

キカイダーにダブルチョップを食らったバイオレットサザエは、胸部を故障して大家荘の庭先に倒れていた。これを察知したジローは、バイオレットサザエを大家荘に連れて入ると、修理を施してやる。不審がるバイオレットサザエにジローは言う。
「君たちは悪い人間の言うことだけを聞くように作られたアンドロイドだ。君たち自身に罪はない」
それを聞いたバイオレットサザエも言う。
「キカイダー、わたしも良心回路が欲しい」

するとそこにミツコが戻ってきて、ダークロボットを助けるのか、とジローに詰め寄る。ジローはミツコに
「ミツコさんには分からない。壊れかかった人造人間がどんな気持ちなのか」
と言い返すと、バイオレットサザエを安全な場所に隠す。そして、荒木博士が娘に預けたという「良心回路」の設計図を探しに出かけた。むろん、自分のためではなく、バイオレットサザエに装着してやるためだ。

しかしジローが去ると、そこに別のダークロボットが現れ、バイオレットサザエを粛正しようとする。バイオレットサザエは、これまでのジローとのやりとりは設計図を奪うための演技だったと言い、ミツコをとらえて設計図のありかを吐かせようとする。
そこへジローが現れ、バイオレットサザエに「考え直せ」と言うが、バイオレットサザエは聞く耳を持たずに襲いかかってくる。ジローはやむなく電磁エンドを食らわせてトドメを刺す。
断末魔のバイオレットサザエは言う。
「さっき言ったことは本当だった・・・。でも私たちはプロフェッサーギルから逃れられないのよ・・・」

この第27話は大筋だけを捉えれば、マンガ版から大きく逸脱しているというわけではない。マンガ版においても、人工知能を装備されたダークロボットたちは、自ら思考し、行動を決定する。テレビ版のバイオレットサザエも、そのなかの一体として構想されたはずだ。

だが、その、人間の手で装備された人工知能による思考、という制限内においても、ゴールデンバットやバイオレットサザエのように<心>らしきものを持ったアンドロイドは成立してしまう。それは、他でもなくジロー自身がそういうアンドロイドだからだ。

だとすれば、ジローが他のダークロボットとは異なり、あたかも人間のように見える秘密は「良心回路」にあるわけではないことになる。マンガ版のイチロー=キカイダー01が、「良心回路」を持たないのにも関わらず、見かけ上はジローと何も違いがなく、むしろジロー以上に生き生きとした人間のように描かれたことが、その証明になるだろう。

ならばテレビ版の「良心回路」とは何なのか?
実は、ぼくらはそれが「完成」した状態を簡単に目にすることができる。チェンジ(変身)した後の、キカイダーがそうだ。キカイダーは、ジローと違って悪魔笛の効果がない(正確には、薄い)。これが「良心回路」が完全に作動している状態だ。

そして第27話以降は、幾度となく「良心回路」のパワーが語られることになる。

「キカイダーがあの設計図を手に入れたら、完全無敵の人造人間になってしまう。そうなったら、このダークに勝ち目はないのだ」(第28話ギルのセリフ)

「もしぼくの良心回路が完全なものになったら、ぼくは人間以上の機械になってしまう。ぼくは少しでも人間に近いところにいたい」(第29話ジローのセリフ)

「ダーク破壊部隊が、いつも決まってキカイダーに敗れてしまうのは、キカイダーの良心回路がその場その場の状況に応じて、適切な判断をする力を持っているからだ」(第30話ギルのセリフ)

「キカイダーのように、敵方の能力および弱点を読み取る力は、まだ私にはありません」(第30話ダークロボット・アカネイカのセリフ)



こういったセリフからは、もはや「良心回路」を<心>と捉えるような曖昧さを見ることはできない。そしてそれは、キカイダーの強さを「良心回路」に求めた先にある、自然な結論だったとぼくは思う。

かくして長坂秀佳は、ここに一人のヒーロー像を提示することになる。

「良心回路」とは正反対の機能をもつ「悪魔回路」を搭載したヒーロー。
ハカイダーの登場だ。

つづく

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