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竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
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人造人間キカイダー 最終回「ジローの最期かダーク全滅か!?」

脳をとられたハカイダー

結論から言ってしまえば、ジロー=キカイダーは「正義のヒーロー」になることを最後まで拒絶した。光明寺博士はジローの「良心回路」を完全にしてやろうとしたが、ジローはそれを断って、ひとり「修行」に旅立っていったのだった。

一応、前回までの記事で書いた箇所の後の、あらすじを。


光明寺博士を殺害しようとしてダーク基地内を探し回ったハカイダーは、ミツコとマサルが監禁されている牢獄に辿り着くが、そこには脳髄を奪われて人工的に余命を保っている博士の肉体とともに、五体バラバラにされたものの、ミツコの手で上半身だけの修理が終わったばかりのキカイダーがいた。ハカイダーは再びキカイダーと戦えることを喜び、キカイダーの修理が完成するのを待つ。

やがてキカイダーは完成し、二人の対決が始まった。戦いのさなか、ジローはミツコに博士の肉体をダーク基地内の手術室に運ぶように命じる。一方、ジローとハカイダーがまだ基地内にいることを知ったプロフェッサー・ギルも、最後の戦いを仕掛けてくる。
牢獄での戦闘は不利と見たハカイダーは通路に飛び出していくが、そこに待ち構えていたダークロボット・ハッコツムササビの奇襲を受け、絶命する。

ハカイダーの遺体を手術室に運んだジローは、ハカイダーから光明寺博士への脳髄移植手術をミツコに命じると、自分は時間を稼ぐためにサイドカーで逃走した。ダークがジローを追跡しているうちに博士の手術は成功し、光明寺親子はダーク基地を脱出する。が、多勢に無勢であっさり捕まってしまう。

ギルは「初めからこうしておけばよかった」と悔やみながらも、光明寺親子の死刑を行おうとするが、そこにキカイダーが戻ってきて、いよいよダークとの最後の戦いが始まった。
結局、悪魔笛を叩き折られたギルは観念し、司令室に逃げ込むと基地を爆破すべく、起爆装置を押す。かろうじて基地を脱出したキカイダーたちが見守る中、ダーク基地は大爆発を起こし、炎上するのだった・・・。

光明寺家はスイスで休養することになり、引っ越しの荷造りを急いでいた。ミツコはジローと過ごすスイスでの生活に思いを馳せているが、ちょうどその頃、書斎ではジローが博士に別れを告げていた。

「博士、ミツコさんたちには何も言わずに行きます」
「うむ、私も君の良心回路を完全にしてやれなかったことだけが心残りだ」
「いえ、ぼくはこのままがいいんです、欠点の多い人造人間のままで。完全な機械にはなりたくありません」
「・・・ジローくん、いろいろと苦労をかけたな」
「とてもためになりました」
「それから・・・やはり修行に出るのか?」
「はい、全国を回って、不完全な良心回路に負けない精神力を身に付けてきます」
「頑張りなさい」
去っていくサイドカーの爆音が、ミツコの耳にも聞こえたのだった・・・。


繰り返しになるが、もしもジローの「良心回路」が完全なものであったとしたら、光明寺博士が生還してダークが滅亡してしまった今、ジローもまたハカイダー同様に自らの存在意義を失って、底深い虚無感に襲われるはずだった。しかし幸いにもジローの「良心回路」は不完全なままだったので、彼の精神状態には特別な変化が起こることはなかった。

それならジローは、これまで通りミツコとマサルのそばにいて、二人を守っていけばいい。
そう考えるのが普通だろう。
だがジローには、そうもいかない事情があった。
ぼくはその事情を、ヒーローが子どもたちに示すべき「父性」を、ジローが持ち合わせていないからだと思う。『人造人間キカイダー』のなかで具体的に言えば、ジローがマサルに示すべき「父性」ということだ。

マサルという少年は、石ノ森章太郎のマンガ版ではほとんどクローズアップされることはない。マンガ版のサブストーリーはあくまでジローとミツコのメロドラマであって、マサルはミツコの付録のような存在でしかない。
そんな哀れなマサルに光が当たるのは、長坂秀佳がメインライターに座ったテレビ版の第27話からだ。

それ以後、永遠の平行線で話の広げようがないミツコとのメロドラマは影を潜め、”ヒーローと少年”という、特撮テレビ番組の王道に『人造人間キカイダー』はシフトしていく。

蒸発した父親を捜す旅を続けるマサルにとって、ジローは心強い保護者だった。それもそのはずで、もともとジローとは、ダークの手で殺された本当の兄、光明寺太郎の身代わりとして実父が製作したアンドロイドだった。マサルはジローを慕うが、その想いは本来は兄の太郎に向けられるべきものだった。
そのため、第15話でダークロボットが変身したニセの太郎が現れると、マサルの気持ちはあっさりとジローを離れてしまう。

そんなマサルの気持ちにつけ込んだのがハカイダーだ。
第36話「狂ったジローが光明寺をおそう」に始まる急展開は、悪魔笛に操られたジローが、ついに記憶を取り戻した光明寺博士を絞殺しようとすることから始まる。
この時のはげしい葛藤で、ジローはオーバーヒートを起こして全機能が停止。光明寺はダーク基地に連行され、ハカイダーの製造を強制されてしまう。ミツコはジローを修理するが、声帯回路が直らず、ジローは声が出ない。殺人容疑で拘置所にぶち込まれたジローは身の潔白を証明できず、牢を破って逃亡する。

「父の仇」ジローを探し回るマサル。
ここでマサルの前に現れ、「どんな機械の動きも止める特殊光線」を放つ「デス・ホイッスル」を手渡したのがハカイダーだ。さらにハカイダーは、マサルがダークロボットに襲われるとそれを助け、マサルをすっかり手なずけてしまう。ジローの地位は、かくも容易にハカイダーに取って代わられてしまったのだった・・・。

要するに、マサルにとって、ジローはただの便利なボディガードに過ぎなかった。
光明寺博士は、バレれば殺されるというダークの監視の中、秘かにジロー=キカイダーを製造した。ジローとは、あくまでダークの陰謀と戦い抜くのだという、光明寺の意志そのものであり、彼の「父性」そのものでもあった。また、マサルの兄、太郎は、環境警備隊の隊員としてダークに対抗し、殺害された。

こうした「生き様」は、ジローにはない。
ジローはただ、マサルとミツコを見守り、襲い来るダークを撃退していっただけだ。それも彼が、ダークに対抗しうる力を持つアンドロイドだったおかげだ。
おそらくジローは、なぜダークと戦わなければならないのか、とマサルに問われても、きちんとした答えを与えてやれることはなかっただろう。ジローは、ただ、ダークは「悪」だから戦え、と命じられたから戦った。そこに、ジロー自身の「父性」はない。ハカイダーと何も変わらない。

ところが幸いにして、単一の命令だけを与えられたはずのジローの「良心回路」は不完全だった。そのおかげで、ジローはダーク打倒よりも、ミツコとマサルの護衛を優先することを自ら選択できた。
つまりはジローは偶然にも、「主体性」を持ったアンドロイドとして生まれてきた。
だから、すでに自分が「ボディガード」でしかないと気付いてしまったジローの「主体性」は、光明寺一家と離れての修行の旅路を選択させた。マサルに伝えるべき「父性」を備えた真のヒーローになるためには、それしかなかった。


この、ハカイダー登場以降の『人造人間キカイダー』が、東映的なヒーローのあり方への一種の批評になっていることは興味深い。悪役であるはずのハカイダーのほうが、東映的なヒーローの属性の全てを備えており、その一方で、善玉ヒーローとして設定されていたはずのキカイダーが、最終的には自分自身のあり方を否定してしまう。
こんな視点は石ノ森章太郎のマンガ版には存在しないので、(アドバイス等は受けたかもしれないが)後半のメインライター・長坂秀佳のもつ世界だろうと、ぼくは推測する。

そんな長坂秀佳が、全32話中、30本の脚本を担当した東映ヒーロー番組がある。
快傑ズバット』だ。

つづく


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