プロフィール

竹波エーイチ

Author:竹波エーイチ
1967年生まれのおっさん。
一つの 「カテゴリ」 で一つの記事となってます(記事は古い順に並んでます)。同世代のおっさん向け。

カテゴリ
もくじ

全ての記事タイトルを表示する

月別アーカイブ
ブログ内検索
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

主要記事
リンク
応援中
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
趣味 - シュミラン

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

レインボーマン ひとつの日本

親子三代

ここまで『レインボーマン』が、いかに『仮面ライダー』をはじめとした70年代の東映ヒーロー番組と異なる世界観を持つかについて書いてきたが、今回はその決定打ともいえる部分に触れておきたい。
題して、ひとつの日本。

これまで見てきたように、70年代東映ヒーローの多くは、戦後日本に底流する巨大な物語とシンクロすることで、彼らの「正義」の正当性を保ってきた。その物語とは、ひとつは「人間の自由」を最大の価値とする「戦後民主主義」で、もうひとつは「世界の平和」に反するものを敵と見なす「東京裁判史観(自虐史観)」だ。

こうした物語は、戦後になってGHQによって持ち込まれた考え方だから、要するに元々はアメリカの「正義」だ。そしてその「正義」を受け入れた(受け入れざるを得なかった)戦後日本に生まれた特撮ヒーローたちは、「人間の自由」と「世界の平和」のために「悪」と戦った。

しかし、”ヒーロー”たちの「正義」がアメリカの「正義」だとするなら、彼らの戦う「悪」はまず第一にそのアメリカに反旗を翻し「世界征服をもくろんで侵略戦争をおこした」とされる大日本帝国と容易に結びついてしまう。現に、「ショッカー」にはナチスドイツとの深い関わりが示唆され、『変身忍者嵐』は悪に与した父の「過ち」を償おうとし、『超人バロム・1』は日本の外部に存在する「正義」の、その「代理人」を名乗った。彼らの戦う「悪」には、どこか戦後の(左翼的な)文脈で語られがちな大日本帝国のイメージがつきまとっていた。

そんな中、川内康範原作の『レインボーマン』は、ヒーローの戦う「悪」を、日本社会の破壊と日本人の抹殺をもくろむ集団(死ね死ね団)だと具体的に提示した。ここには、東映ヒーローが安直に乗っかった自虐史観の物語はない。
それが明らかな形で示されるのが、第22話、第43話といった辺りだ。

主人公ヤマトタケシの父、ヤマト一郎は新聞記者だった。10年前、いち早く死ね死ね団の陰謀を察知した一郎は、幼い我が子を妻たみに託すと東南アジアまで取材に出かけた。しかし反対に死ね死ね団に拉致されてしまい、10年の間、彼は監禁生活を余儀なくされていた。

第22話「一億人を救え!!」はそんな父が、10年ぶりに成長した息子の姿を見るエピソードだ。
一郎は首領のミスターKに呼ばれ、死ね死ね団の最大の敵はレインボーマン、すなわち一郎の息子ヤマトタケシだと教えられる。それを聞いた一郎のセリフはこうだ。

「タケシが、わたしの息子が、きさまたちと戦っているのか・・・。そうか、タケシが正しい男に成長してくれたのか。そして俺の心を継いで、やはり死ね死ね団と戦うとは・・・。タケシ、父さんは苦しい思いをして生きてきた甲斐があったぞ」

そして死ね死ね団の基地の中で再会した父と子は、協力してミスターKを追いつめる。しかしその父はミスターKの放った銃弾に倒されてしまう。父を助けるべきか、ミスターKを追うべきか。タケシが究極の選択を迫れられた時、父はタケシの迷いを一喝する。「早くやつを追え!」と。そして言う。
「人間に欲望がある限り、悪は消えない。お前の戦いは永遠に続くのだ」

第43話「太陽とみどりに誓う!」では、タケシの祖父が登場する。
このときタケシは、戦闘で受けた傷が元で、レインボーマンの術が使えない状態に陥っていた。そんなタケシの焦りを見抜き、無心であることの大切さを教えたのが剣道の道場を開いている祖父の久蔵だった。この時のやりとりからは、タケシが幼少時からこの祖父に剣術の指南を受けていたことがうかがえる。タケシの人並みはずれた運動能力は、この祖父から受け継いだものだった。

このように「レインボーマン」では、主人公ヤマトタケシが、父の心と祖父の技を受け継いでいることが強調されている。それは言いかえるなら、戦前、戦中、戦後の日本が、レインボーマンという一つの像を結んでいるということだ。ここに日本史の分断はない。一つの日本だ。戦前・戦中の日本を「悪」として否定して、それと戦うことが「正義」だというような、自虐史観につながる発想はない。

そして、そんな父と祖父に育てられたタケシ自身にも自虐史観はない。
第32話で、「アルパニア」という国から友好使節が来日するという新聞記事を読んでいるとき、妹のみゆきに「アルパニア」がどういう国かと聞かれ、タケシはこう答えている。

「東南アジアの小さな国で、戦争中日本がひどいことをしたんだ。それが今度ようやく仲直りができて、むこうの友好使節がやってきたんだよ」

タケシは戦争で日本がアジア諸国に「ひどいことをした」ことを認めている。だからと言って、そんな日本を必要以上に恥じたり、過剰な贖罪意識を持っているわけではない。タケシが「アルパニア」の友好使節団を保護しようと命がけで戦ったのは、それが現在の日本のためになるからだ。

だからタケシは「世界の平和」などといった大言壮語はしない。
彼の誓いは、あくまで「日本人一億のために」だ。
「この、美しい太陽と緑のこの国を、みんなの幸せを守るのが俺の使命なんだ」

つづく


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。